人力車に乗りまくってたら、自分の書いた小説に出てくる人力車が爆誕した話。
発売からまもなく三年がたとうとするわけだが、僕の本『京都東山「お悩み相談」人力車』(PHP文芸文庫)は、自分でいうのもなんだか気が引ける(とは実はあまり思ってないけど)んですが、わりといい線いってると思う。ま、書いた本人はだいたい思ってる!
僕は基本、自分が読みたいものを書きたい、と思っていて、こういう話を読みたかったもので。もちろん本屋で売るわけだから、買ってくださる人が面白いと思ってくださるものを書くのが前提ではありますよ。そこは絶対忘れないようにしてます。
男子が元気な青春小説が足りない! と思っているのです。
今流行りのテーマではなく、地味な作風の僕なんですが、これはより一層地味なもので、他の本に比べてネットを見ても感想は少ない。これは悲しいことである。なのでとにかく読んでもらいたいとSNSでPRしている。続きも書きたいしさ。
続きを書くためになにをするかといったら、人力車に乗ることだったりする。なので乗った、乗りまくった。
乗りまくった結果、人力車のえびす屋さんから、人力車のプレート(車号といっていいのか)を作っていただけることになった。
どんな文字でもいいですよということで、もちろん僕の小説に登場する人力車「若紫」をお願いした。
自分の書いた小説にでてくるものが現実化する。
なかなかないことである。プレート、高級感あるし! 一生の宝です。
やはり舞台となった京都東山で初披露しなくては、というわけで、プレートを小脇に抱え(嘘。カバンに入れて)、京都へ出かけた。
今回この「若紫」を運転していただいたのは國友さんというナイスガイである。知識豊富かつ、ユーモアもある。あなたの旅の思い出のお手伝いをしてくれます。えびす屋の東山店では事前に乗るぞと決めている時はだいたい國友さんにお願いしております。僕はルートはいつもお任せしているんですが、毎回毎回趣向を凝らした場所へ連れていってくれます。
感無量である。そして高台寺ねねの道からスタートし、平安神宮→南禅寺と作中の「あっちゃん残念デートコース」を回っていただきました。
久しぶりに蹴上げインクラインにも行けたし、充実した時間をありがとう!
人力車に乗るっていうのはなかなかどうしてアトラクション感がある。乗車しているときの高さ、そして歩くとはちょっと違うスピード感。みんなぜひ乗って欲しい。人力車小説を書いた作者としては、いろんな人にこの体験をしてほしいと思う。
全然一人でも乗れる。僕は「男性」「一人客」というハードル高い、なかなか乗ってみたくてもちょっとな〜って尻込みする層なんだが、ガンガン乗る。
ついでにいうと俥夫との会話もなかなか楽しいものである。みんなそれぞれの想いや気持ちがあって、この仕事をしているんだな〜なんて感慨深い。そして、この観光人力車という仕事は、本当に素晴らしいものだと思っている。お客さんと直に触れ合い、人が喜んでいること(もちろん逆もあるかもだけど)がわかる、なんだか労働の基本というか、働くってそもそもこういうことだよな、という原始的な喜びがある。
コミュニケーション能力や営業能力、ヒューマンスキルもなければ長続きしない。ロボット人力車(なんか不条理)なんてできても味気ないしね。
もし興味を持ってくださったら、読んでください〜!
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あと、えびす屋さん、気軽に予約できるし、もし通りかかったらそのまま乗れます。
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うわ〜最後なんか急に宣伝ぽい(笑)。
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