俺は骨の髄までありきたりだ! #14 うえーい、は魔法の言葉(なのか)
アナトミー・オブ・ア・スーサイド
22日、夕方から雨だった。初日の幕が開くのが2度延長され、その都度観劇するのにリスケすることになった『アナトミー・オブ・ア・スーサイド』。さすがにもう、「今日は行くのやめようかな」と思えてくる。なのに、どうもこの作品を観るべきではないのか、という予感もあって、足場最悪ななか、文学座アトリエへ向かった。
アトリエでの公演は、できるだけ観にいきたいと思っている。とんがっているし、若手の意欲作や、大御所の実験的(たとえば新しい作家との出会いとか)なものを上演するので、熱気がちと違う、気がする。ところで、僕もいちおうは×十年前には文学座の養成所で発表会をしたこともあるので、なんだかくると感慨深い。文学座、永久にアトリエを残してほしい。
一幕を観終わって、「ああ、こりゃ傑作だ。今年のベスト候補だ」と確信した。観ているあいだずっと、胸はざわつき、泣きそうになっていた。いつも休憩のときはもしものことも考えて、膀胱が張っていなくてもトイレに行くのだが、今回は立ち上がることもできなかった。そして、観終わったとき、おおげさかもしれないが、何か自分のなかの、奥にあったものが浄化されたかのようだった。いや、ほんと「浄化」って感じ。もちろん自分の抱えるわだかまりすべてが! 解脱! というわけではなく、そのなかの一つがいつのまにか消え、少し軽くなったような気がした。
物語は祖母、母、娘の三世代の物語だ。時系列ではなく、舞台上で同時進行で物語が進む。右で孫の話に気をとられていたら、左の祖母の話がいつのまにか進行していたり、する。途中途中で、彼女たちは呼応する。同じ言葉を口走ったり、似たモチーフ(手首を傷つけるとか)が起こる。一瞬時空を越えたかのような「はみ出し」もある。時代が違うテリトリーまで足を踏み込んだり。
祖母の自殺、母の自殺、自分自身もまたそうなってしまうのではないか。死んでしまった人々と自分はどう折り合いをつけるべきなのか。彼女たちが暮らした「家」とはなんなのか。「夫」「まわりの人々」は、彼女を傷つけるためだけに存在していたのか。もちろんそんなことはない、しかし彼女たちの気持ちを食い止めることはできない。それぞれが自分を保つことに精一杯で(もちろん破綻もする)。
誰かからの優しさを受け取ること。誰かに優しくすること、のなんと途方も無い一大事業よ。そして、自分を生かすことの困難さ。
アトリエからでると、雨は小雨になっていた。キャストスタッフのみなさん上演してくれてありがとう。そして、上演される価値はあった。
僕の観た回、祖母役の上田桃子さんが、芝居で涙を流していた。美しい佇まいでした。娘へ、そして世界に対する涙でした。
うえーい
コンビニで昔バイトしたことがあるので、働いている人々の苦労というか大変さはよくわかっているつもりである。
なにせやることたくさんあるし。料金収納に宅急便にチケットだの、いまじゃメルカリがどうこうって! なのでレジの列ができていたりすると、「焦らないでもいいぞ」とテレパシーを送ったりするが、そりゃいい迷惑だ。
慌てまくってお客の列をちらちら眺めていたら「なんだてめえ!」と怒鳴られたことがあたったな。その相手は昔芸能人でいまは会社を経営してるんだかなんだか、って人(ぼかすとなんだかわからんな)だったんだが。首根っこ掴まれたことは覚えてる。あのやろう〜!
海外の人がレジに立っていて、あの高度なオペレーションをこなしてると思うと頭がさがる。でも深夜ワンオペでがんばってるなんてさ。
たまに入るコンビニでもう疲れ切ってしまっているのか、「うえーい」としか言わない店員さんがある。
値段も言わない。袋入れますかも言わない。で、ただ「うえーい」って言ってる。
バーコードスキャンしました。
「うえーい」
お金をレジに投入してボタン押しておつりとレシートが。
「うえーい」
ありがとうと声をかけると。
「うえーい」
なんなのだ(笑)。
俺だけにそうしてるのか? 俺もしかして痛い客扱いされてるとか? と他のお客の相手をしている様子を見ると、やっぱり。
「うえーい」
多分「うえーい」にいろんな意味があるんだろう。ニュアンスというかイントネーション全部同じだけど。ペッパーくん並に。
あるとき、なにやらおじいさんが料金収納を大量に持ってきて、それをさばいているのを見かけた。やっぱり「うえーい」である。おじいさんがキレて怒鳴ったら、黙った。
あ、そこ「すみません」言わないんだ。
もうこの人、この店で働いているときは「うえーい」しか言わないんだ。
とりあえず並んでいたので、さっさとこの騒動を終わらせて欲しいと思った。
あるとき商店街で、その「うえーい」さんが前から歩いてきた。というかよく俺も気づいたな、私服の「うえーい」さん。
「うえーい」さんは、電話をしながら歩いていて、なにやら楽しげに話していた。
衝撃でしたよ。
話せるじゃんと。やっぱあの店が辛すぎるっていうかなんか呪いにでもかかってんのか?
「うえーい」と、思わず自分も口にしてみた。
感情はなにも乗せなかったなかったけど、ちょっと似てる気がしなくもない。
夏風邪にはかかりたくない
この夏は、風邪を2回引いてしまった。これって、マスクをしなくなったからか? だってみんな平気でゴホゴホしてるし! いや、どちらかといえば免疫が低下しているのかも。
とくに最初の風邪は、ちょうど足の手術してすぐだったこともあり、いつものように足湯して汗をかいて……という技が使えなかった。しんどかった。
書こう書こうとしながら後回しにしている、ダイエット記録(現在15キロ減)。やっぱり栄養が取れてないのか? いや、アプリで記録している限り、暴飲暴食はしていないものの、やっぱビタミンとか足りてなさそうだし。成人が必要としているエネルギーよりは低めの食事だからな〜。チート(なんでも食っていい日)を入れたとき、「なんか食が細くなっている気が」したんだけど(いやめちゃ食いましたけどね)。
なにはともあれ、夜はちょっと寒くなってきたし、気をつけよう。とりあえず、喫茶店ではアイスコーヒーからホットに変更しよう(小さな一歩)。