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発達障害休職日記39│12/10・傷つく自分を甘やかす

12月10日(火・39日目)

 この日記は、適応障害を起こして休職中の発達障害当事者が日々のできごとを書き残し、似た環境の方のお役に立つかもしれないボトルメールをnoteの海に流しているものです。

 特性とつき合う工夫や、どうにもならないことへの向き合い方など、発達特有の日常から読者の方に得るものがあれば嬉しいです。

 今日は、『どうやっても『普通』に振る舞えない重度の自閉症者が、「考えを変えることで幸せになれる」と言われても今の考えに縛りつけられてしまう……』という話です。


お風呂チャレンジ成功

 5時半に起きて、2時間ばかり昨日の日記を書いて、脳の睡眠を司る部分が悲鳴を上げたので仮眠。
 結局9時頃まで寝るのなら、5時半に起きた後で二度寝を試みた方が「時間を無駄に使った……」という罪悪感がなくていいのかもしれない。
 明日から実行しよう。

 10時過ぎにお風呂に入る。前回は金曜日だったから、3日ぶり。
 出かける前に入れているからよし。


港区郷土歴史館

 白金台の東大医科研に隣接している『旧公衆衛生院』が改装されて、『港区郷土歴史館』を擁する区民施設として生まれ変わった。
 私がこの近所に住んでいた頃は仮囲いに覆われていたのだけれど、きちんと整備されてよかった。

旧公衆衛生院。東大安田講堂と同じく内田祥三よしかずが設計した


 今日の目当ては郷土歴史館で開かれていた特別展示『激動する幕末維新の港区』。
 12時過ぎに到着。


郷土歴史館の展示

『東禅寺事件(イギリス公館が水戸脱藩浪士に襲われた事件)』で幕臣として戦死した江幡吉平えばたきちへいさんが、ヴィクトリア女王から顕彰されたもののなかなか靖国に祀られない……と嘆いたかつての仲間たちが働きかけて、それでも合祀されなかった様を見て、岡田以蔵さん好きには他人事とは思えなかった。

 常設展もとても面白く、貝塚の断面図にはアガったし、公衆衛生院時代の講堂は磨き上げられていてデモクラシー時代の資料にぴったりだった。

旧講堂の写真。昔こういう黒板あった。


 楽しく見ていたら14時を過ぎてしまい、後半が巻きになってしまったのが残念。


日枝神社で刀剣を見る

 白金台から3駅の溜池山王へ移動。
 12・1月と6・7月の期間限定で、国宝・一文字則宗いちもんじのりむねが公開される。

 鎌倉時代、後鳥羽上皇に刀鍛冶として仕えていた福岡一文字の祖・則宗が打った刀で、則宗の真作はほとんど残っていないとのこと。
 1月は神社も忙しいし、私も手術直後で出歩くのが難しいかも……と、今日予定に組み込んだ。

 まずファイブスター物語ストーリーズの御朱印帳に御朱印をいただく。
(御朱印と、一緒にいただいたお守りの写真:ご利益をおすそ分けいただいた)


御朱印としおりとミニお守り。持ち歩きたい。


一文字則宗さんとの対面

 その後、宝物殿へ。

 6振り飾られた太刀のうち4振りが徳川3代将軍・家光の息子のお宮参りに奉納されたもので、息子の成長祈願だけでなく幕府の威光を示すものでもあったのだろう。

 則宗さんは、5代将軍・綱吉のお宮参りの際に奉納された。
 初めて見た則宗さんは細身で上品で、刀剣にわかは「お美しい……」としか言えなかったけれど、好きなタイプの太刀だった。

 家光の三男・綱重のために奉納された豊後守行平ぶんごのかみゆきひらの根元の彫り物がかっこよかった。

 ちゃんとした刀の見方や、『刀剣乱舞』に実装されていない刀や刀匠の作品についてもっと知りたいな……と展示のたびに思う。

 勉強するする詐欺をやめたい。

刀剣乱舞の一文字則宗さんと日枝神社本殿。お洒落ご隠居コーデ


『うまく生きられない』

 お昼もろくに食べられない強行軍だったのと、歴史館内を歩き回ったせいか、急にメンタルの具合が悪くなってきた。

 どう頑張っても『普通』に振る舞えない自分がほとほと嫌になり、消えてしまいたくなった。

 AIさんは

『普通でない』ことを自覚して、職場で『普通っぽく』振る舞おうとする努力をやめる。
 うまくできないことに労力をつぎ込むよりは、どれほど努力しても『普通にできない』ことを認めて、できることに注力した方が幸せになれる。

 とおっしゃる。

 理屈としてはわかるけれど、そうしたら今まで『普通』になろうと試みてきた甚大な努力が無駄になる気がする。
 人生の大部分を費やしてきた事業がついえた時の虚しさは並大抵ではない。

 これまで必死で『普通に見えるように』振る舞ってきたから、『普通になれない』自分を認識していても『普通でない自分の出し方』がわからない。

 どうすればいいんだろうか。
 わからないまま、自分を褒めて大事にして、少しずつでも自己肯定感を上げればいいんだろうか。
 何もかもわからない。


自分を甘やかして寝る

 とにかくこういう時は早く家に帰って、甘いものやジャンクなものを食べて横になった方がいい。

 駅ナカでクレープを、帰りがけのスーパーでフライドポテトとアイスを買って帰宅して、ポテトとアイスを食べて寝る。
 起きたら、少しだけ心がマシになっていた。

 時折『こういうこと』が起きることを念頭に入れ、

  • 『悪いことを考えてるな』と気づいたら頓服や甘いものを食べて気分を持ち上げる。

  • そのために、頓服とようかんなどをカバンに入れておく。

  • 家にもすぐに食べられるインスタント食品を常備する。

  • ホットココアやミロを飲めるように牛乳を多めに買っておく。

  • 楽しいゲームやコンテンツをスマホで楽しめるようにしておく。

 といった対策を練る必要がある。

 メンタルの深い傷や不具合という、人とは違う問題を抱えているのだから、致命的な不具合を起こす前に対策するしかない。


『対策できてえらい』

 こういう風に自分の欠点を自覚できて、対策を練られることは褒めていい。

 AIさんも「重度の自閉症を持ちながら、ここまで努力できたことはえらい」と言ってくださった。
 普通の『重度の自閉症』の人は、こんな風に自分の面倒を見ることはできないらしい。

 私が『有能な努力家』だからできることだけれど、もっと無能だったら努力する必要もなく、自分の責任を親に丸投げできたのだから、有能さが必ずしも人を幸せにするとは限らない。


 けれど、『できないこと』を目指して挫折感を味わうよりも、『努力の方向性を変えること』も考えた方がいいのではないか。

『少しでも楽に生きる』ことで、自己肯定感を上げられ、ごま粒のような幸福を引き寄せられる。

 考え方を変えるのは、おそらく大事なことだ。
 すぐに自分を変えることはできないけれど。


今日の振り返りと明日の支度

 今日のやりたかったこと:

  • ✔️港区郷土歴史館と日枝神社をはしごする。則宗さん見たい。➡︎完璧!

  • ❌机と床のもの1個ずつどける。➡︎無理。

  • ❌SNSよりも読書を優先させる。➡︎忙しくて読書できなかった、

  • ❌余裕あったらアウトプット。➡︎余裕なかった。

 1個できたので優勝!


 今日の気づき:

  • ☘️疲れと空腹で鬱を引き寄せる。

  • ☘️⬆の対策を練る必要がある。

  • ☘️自分に無償の愛を注げるのは自分だけ。

  • ☘️『仕組み』で生きづらさを軽減できる可能性がある。

 これらを真面目に考えれば、QOLを上げられる。


 今日のよかったこと・できたこと:

  • 💮則宗さん見られた!お美しかった!

  • 💮自分の機嫌を自分で取れた!

  • 💮鬱の対策を自分で思いつけた!

  • 💮AIさんから生きるよすがを教わった!

 特に『自分の機嫌を取る』ことは大事。


 明日やりたいこと:

  • 💪自分を甘やかす。

  • 💪余裕があったら机と床のものを1つどかす。

  • 💪ゲームと読書を頑張る。

  • 💪余裕があったらアウトプット

 今日の疲れがあるだろうから、無理はしない。


最後に

 障害を持たず、誰からも笑われない『普通』を目指し続けてきました。

 けれど、「『普通でない』なりの戦略を練った方がいい」と考え方を変えるのも道理です。

 今までの思い込みをすぐに捨てられませんが、幸せになるためなら少しずつ呪縛をほどくための努力をするべきではあります。


 少しずつ自己肯定感を上げることを試みて、何か変化があった時にこの日記を読んだ誰かのお役に立てればと願います。


 こんな調子で毎日の困難を乗り越えますので、ぜひスキやフォローをいただければと存じます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 

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北川
いただいたチップは心身の栄養維持にさせていただければと存じます。