ドアノブを治したら
「ドアが開かへん❗」
玄関から叫び声が聞こえた。
買い物に出掛けようとした妻が、ドアが開けられずに困っているようだ。
鍵がかかったようになって開かないらしいのだ。
「鍵開けてるのになんでっ❗」
言いながらガチャガチャやっている間にカチャッと開いた。
「最近よくこうなるのよ」
ぶつぶつ言いながら出掛けて行った。
私はそれまで別段なんとも思ってなかったのだが、そういえば季節の変わり目とかになるとこういうことがよくあるよなと思った。
油が切れて少し動きが悪いのかも知れないとドアノブの隙間からシリコンオイルのスプレーを吹いてみた。
少しマシになったような、たいして変わらないような、なんとも微妙な感じ。
「これはバラさんと無理かな」肝心なところにシリコンオイルがとどいていない気がする。
面倒だが仕方がない。
私や妻だけならまだしも子供たちがこの「ドアが開かない」状態になってはかわいそうだ。パニックになるかもしれない。ちゃんと治しておこう。
うちの玄関ドアのノブは、普通のタイプではなくて縦に5、60センチほどもあるバー状の取ってで、でかいしバラすのは大変そうだ。
いざ覚悟を決めてやり始めた。ネジをひとつずつ外してちゃんと元に戻せるように順番に並べておく。意外と構造は簡単そうだ。
可動部分をガチャガチャとやってみてもそれほど動きが悪いようには思えないのだが、ひとまず埃やらなんやらをキレイに拭き取って、シリコンスプレーをジュッとかける。
何ヵ所かの可動部分が組み合わさり、ドアノブを押したり引いたりすることで、ツメのロックが外れる仕組みのようだ。
各々の可動部分は、シリコンスプレーすることで少しずつは動きが良くなっているようには思うのだが、その程度の違いでドアが開いたり開かなくなったりということがあるのだろうか疑わしい。
しかし他に対処の方法も思い付かないし、こうすることで治るのかどうかは半信半疑だがひとまず一通りのことはして組み上げた。
それがなんとビックリするほどスムースに動くようになったではないか。
今日はドアノブに学んだ。
ひとつひとつは小さな変化でもそれが集まって共同でなにかをするときには大きな違いとなって現れるのだと。
会社などの組織やチーム、いや、国という単位でもそうかもしれない。
ひとつひとつの小さな改善が積み重なったら強大な力になるのだと。
ちょった大袈裟かな。