弱小吹奏楽部を追いかけた軌跡 第4話 目覚める
職場の同僚の子供が、他のライバル中学校の吹奏楽部に所属しているということを知った。
なんと地区予選敗退は娘の中学校だけ。他の同僚の子供達は上位大会へ進んだとのこと。
職場で吹奏楽の話題が盛り上がる。そしてむなしくなる・・
新体制の内訳は1年生6人、2年生12人の合計18人。顧問の先生の意向で全員をアンサンブルコンテストへ出場させることになった。
打楽器、木管、金管とそれぞれチームが組まれた。娘は木管チーム。
アンサンブルコンテストに限らず、コンクールもオーディションというのがあり、それに合格したメンバーだけが本戦に出場できる。
普通はメンバーに入りたいから一生懸命練習する。でも娘の中学校は人数の問題で、入部、即レギュラー。競争がない。あっても1st、2ndの担当を決めることくらい。
親としては我が子が確実に大会へ出場できるから、それはそれでうれしい。でもなんだかな〜。何か変だな。
そしてアンコン当日を迎える。大寒波が襲う猛吹雪の中、みんなでせっせと楽器運び。
当日の朝、集まった保護者は私と他2〜3名。コロナが猛威をふるっており、厳戒態勢の中だから仕方ないのかもしれないが、相変わらず集まりが悪い。確実に何か変。
本番の演奏が始まった。木管チームはフルート2名、サックス2名、クラリネット3名の七重奏。
この頃になると、さすがの私でも耳が肥えてきて、上手いのか下手なのかわかるようになっていた。楽器ごとに音量がバラバラで寄り添う感がない、音程を外す、しょうもないリードミスを連発する・・。
今回初めて他の中学校の演奏を聞くことができた。実力の差は明らかだった。
学校へ戻っていつもの反省会が始まった。一人一人感想を述べる中、顧問の先生が珍しく苦言を述べ始めた。
『誰も次の上位大会へ向けた話をしていない』来年の夏のコンクールへ向けた話を子供達がし始めたからだ。
『次の上位大会へ向けての練習をしてこなかったのか?』
これらには親としてサポートする立場にある私に向けられた言葉でもあるような気がした。
結果は当然ながら出場3チーム全て全滅。
大会後に自宅へ帰る車内の中で、娘をレッスンに通わせることに決めた。どうにかしないと娘の中学校部活動の思い出は悲惨なものになってしまう。もう何でもいいから、よいものは全て取り入れていく。親子で完全に火が🔥ついた。