プログラミング必修化について
2020年から義務教育でプログラミングが必修化されるとのこと。
もう目前に迫っていますね。
私の場合教える対象は小学生ではなく、主に新社会人やIT業界に転職したい社会人を対象に教えているのですが、プログラミングを教える仕事をしている立場として、プログラミングの必修化については自分の考えを発信しておきたかったので、ここで発信します。
まずは教員が頑張る必要がある
ネットでは、プログラミングをしたことがない教員にプログラミングを教えることはできないのでは?といった内容の記事も見かけることがあります。
その意見には私も同意です。
プログラミングを理解していない人がプログラミングを教えるのはなかなか難しいと思います。
また、教員から、プログラミングをやったことがないし、授業の具体的な内容が決まっていないということもあり、どうすればいいのか分からない、という声が上がっているという記事も見かけたことがあります。
その意見も理解できます。
やったこともないことを、具体的な内容も決められていない状態でやれと言われても困ると思います。
でも、それでも、最初はまず教員が頑張らなければいけないと私は思います。
なぜか。
プログラミングの本質は問題解決です。
義務教育でのプログラミング教育も、具体的なプログラミング言語を扱うわけではなく、論理的思考力や問題解決の力を養うことが目的となっているようです。
であれば、当然教える側に問題解決の力がなければ、生徒に問題解決を教えることなどできないでしょう。
教員が、プログラミングの教育をどうすればいいか分からない、と嘆いている状態というのは、教員自身に問題解決能力が備わっていないことの表れでもあるように思います。
プログラミング教育について、具体的な授業内容が決められていない、というのは、教員が問題解決力を鍛える上ではむしろチャンスであるとさえ思います。
まずは教員がプログラミング教育についてどうあるべきかを考えて取り組み、その中でIT技術に詳しい専門家と協力しながら最適な授業を模索していく。
そういうアプローチがベストなのではないかと私は思っています。
そうは言っても、教員は忙しくて、そんなことをしている暇はないという声も上がりそうです。実際そういうことを言われたこともあります。
でも、それで被害を受けるのは生徒たちです。
必修化されることが決まっている以上、そこは教員が本気で問題解決能力を身に付け、そこで得たことを生徒たちに伝えていく努力が必要ではないでしょうか。
義務教育でやってほしいこと
ここからは、私が考える、これからの義務教育でやってほしいことについての話です。
最初の方でも話しましたが、私は主に社会人向けにプログラミングを教えています。
ITエンジニアになる人を対象に教えているので、当然実際の開発現場で使用されるプログラミング言語を教えます。
プログラミング言語の習得スピードは人によって遅い人もいれば早い人もいます。
この差はプログラミングに対する興味やPC操作のスキルの有無など、様々な要因が考えられますが、学力という観点から見ると、高校レベルの国語・数学・英語ができる人なら、プログラミング言語の習得は比較的たやすいですが、中学レベルの国語・数学・英語の理解が怪しい人は、習得がかなり難しいです。
中学レベルでいいなら、高卒以上の学歴なら大丈夫じゃないか、と思うかもしれませんが、私の体感では、高卒以上でも中学レベルの国語・数学・英語ができない人はそれなりにいます。
理系科目が苦手で数学が全然できない人や、英語が苦手で中学レベルの単語も知らない人は意外と多いです。
なので、私の立場からすると、義務教育でプログラミングを必修化するよりも、義務教育の既存の科目の習熟度を上げることに力を入れてほしいという思いがあります。
どうやって習熟度を上げるかについては、教え方などのもちろん大切ですが、最終的には生徒にどれだけ興味を持ってもらえるかが重要です。
既存科目に生徒がもっと興味を持ってもらうためのツールとしてIT技術を駆使していく。
その過程の中でIT技術についても興味を持ってもらうように工夫していく。
これが今後の義務教育で必要になってくるように思います。
論理的思考力を鍛えることは大事ですが、本来それは国語や数学を学ぶ中で鍛えていくべき能力です。
国語や数学の理解力を上げるためにプログラミングというツールうまく活用していくことが大事だと思います。
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