君はもうApple TV+『シドニー』(2022)を見たかね
昨年暮れ、『リトル・シングス』(2021)ってデンゼル・ワシントン主演作を見ていたら作中でラミ・マレックがデンゼルに向かって「コジャック」って言ったんですよ。それはね、ハゲって意味なんです。
……おい、それ言うなら『イコライザー』(2014)だろうが。いいかげんにしろ。
って我ながら意味が分からないキレ方をして以降の、年末年始の映画鑑賞記録を抜粋すると
デンゼル・ワシントン祭。
忘れてることばっかりだな、と思うなか、公開時には何も分かっていなかった『マーシャル・ロー』(1998)にいたく感心したり
南アフリカ、1977年のスティーブ・ビコをむかし見たときに連想したのは1933年、特高警察に殺された小林多喜二だったのに、2021年12月に見たら2021年3月のウィシュマ・サンダマリさんを思わないでいられなかった『遠い夜明け』(1987)。とか、いろんな収穫がありまして。
◆
そんなデンゼル・ワシントン旧作再訪の旅のなか、突然飛び込んできたのがシドニー・ポワチエの訃報だったんです。というここまでが長い前置き。
たまたま読んでいたバラエティ紙のインタビュー記事でも、初出1月6日時点ではデンゼルがシドニー・ポワチエの思い出を「まだお元気でなによりなんだけど、本当に共演したかったなー」って語っていたんですね(日本時間で報道があったのは1月8日早朝/前掲バラエティは再編集版)。
天寿をまっとう、と言っていいはずの訃報に心底驚くと同時に、ネトフリやアマプラでシドニー・ポワチエ旧作にアクセスできる機会が少ないことに憤っていた私。
そんな私だからこそ、Apple TV+が9月23日にドキュメンタリー作『シドニー』を公開してると知って、あわてて月会費を払いました。
彼のファンという身びいきを差し引いても、よく出来たドキュメンタリーで。
何が良いって、これを見たら間違いなく『夜の大捜査線』(1967)なり『野のユリ』(1963)なり『手錠のまゝの脱獄』(1958)なり、フル尺で見たくなるところですよ。
残念ながら、ストリーミングに対応している旧作は限られているんだけど。
……って思っていたら、US限定企画
「ドキュメンタリー公開を記念して2022年10月限定でシドニー・ポワチエ代表作7タイトル、サブスク利用者は無料で視聴可能」
に気付きました。
(=サムネイルにキャプチャした画像)
は? 何それ。
いざとなったらVPN偽装も辞さず。ぐらいの勢いでJPアカウントからの視聴方法を探していたら
・まず一度アップルアカウントからログアウトします
・再ログインした後、地域をUSに
・するとなんかのタイミングでApple TV+のトップ画面が英語表記になる(アップル製品あるある)
・URLは https://tv.apple.com/jp だけど見慣れない作品群がページ下に表示されていれば、それは実質US画面をJPユーザーとして覗けていることを意味します
・喜んで「PLAY」ボタン押すじゃないですか。すると『シドニー』(2022)制作代表者としてオプラ・ウィンフリーが出てきて口上を述べるんですよ。「みなさんに偉大なシドニー・ポワチエの作品をお届けできる機会に恵まれたことを共に喜びたいと思います」云々。2分弱
・前口上に続いて本編が始まるかと思いきや、画面がブラックアウトしてoh、ちゃんとアクセス元を見て弾いてんなー
・そこであきらめたら試合終了ですからね、PLAY→オプラ→スライドバーで本編途中をクリック。みたいなことを繰り返していると、JPユーザーなのに本編が視聴できるというバッドノウハウに到達(なお7タイトル全部を見るためにオプラを100回近く再生するハメになりました)
・Apple TV+の映像プラットフォーマーとしてのヤル気の無さはつとに指摘されるところですが、今回に関していえばその無気力のおかげで未見だった『レーズン・イン・ザ・サン』(1961)とか『いつも心に太陽を2』(1996)みたいな作品を体験できて、ええと、こんなことをnoteに書いたらせっかく都合よく開いている穴がふさがれるかも。と思いつつ、俺の勘では彼らのヤル気の無さは相当なので、バグフィクスの心配はしなくてもいいのではないか
旧作群を見るのにそこまでの熱意を注ぐ必要は、ふつうはないと思いますが、ドキュメンタリー『シドニー』(2022)はそんな面倒もなく、600円払えば視聴できますので、ぜひおひとつ(とか言ってたら急に900円/mに値上がったけど)。ほかにも「え、こんな作品あったのなら早く教えてくれよ!」ってなるレベルの映画、そこそこあるしね。
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