2020年4月の某炎上事件を思い出した話ほか/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.8.29-21.9.4)
珍しく今週はトップニュースとしておめでたい話を取り上げられます。
信濃毎日新聞の連載「五色のメビウス」は個人的にずっと推していたので、選考委員もなかなかお目が高い&ただの読者の私も鼻が高い。
選考委員(5人)は「『命の分岐点に立つ』外国人労働者の迫真ルポ、送り出し国の機関から日本の入管、雇用先、自治体など関連組織への徹底取材。半年にも及ぶ連載は、軽視されがちな外国人労働者問題の深刻さを、真剣に考えていくための新たな視座を提供した」と評価した。
うむ。半年前に全力でホメてた私のこともホメてくれていいですよ。
■今週目についたやわらかいほうのニュースたち
最後のFRIDAY記事、たとえば
「外人ギャングが逮捕されたら、本当はビザなくなる。でも、問題ない。子供の頃に日本に来ていれば、ビザがなくなっても、仮放免がでる。だから国に帰らなくていい。日本にいられる」
というところとか、一知半解の読者を助長しかねないのですが、筆者が言いたいことは
・強制送還は必ずしも問題解にはならない
・幼い頃に来日した外国人たちを、きちんと社会で受け入れることの重要性
・外国籍の子供たちの未来について、社会が一丸となって考えることがこれまで以上に必要
ってきわめて真っ当にまとめられており、誤読を生むとすればその元凶は、筆者でなく媒体の底意にあると感じました。私の考えすぎならいいんですけど。
■やわらかくないニュース その1
これは別途書いた。
■やわらかくないニュース その2
名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人の女性が死亡した問題を受けて、収容施設内で適切な医療措置を講じることができるよう、職員の体制や医療機器を整備する費用として、およそ8億6000万円を盛り込みました
って報道されているんですけどプレスリリースには下図のように「ざっくり385億円」としか載ってないので、そのうち8.6億が妥当なのかどうかもよく分からん。そして、そこを解説するのが新聞の仕事では、と思わないではない。
■ウィシュマさん
この件、例によって東京新聞だけが突っ込んでいるのですが、法相閣議後記者会見(21.8.31)の質疑のほうが分かりやすい気がするのでそちらを引用。
Q. スリランカ人女性の件ですけれども(略)IOM職員,匿名になっているのですが,調べたところ,法務省から委託事業を行っていまして,帰国支援で1100万円の予算がついているという状況でした。大臣,このことは知らなかったのではないかと思うのですが,特にIOMに関しては利益相反関係に当たるような方を有識者として法務省が指名していたこと,これをどう受け止めるかという点。
まずIOM(国際移住機関)に法務省が事業を委託することには問題ない。専門的知見のある組織だから。
そして、ウィシュマさんの最終報告書を評価する際、フラットな立場から意見を具申できますか。という問いに「法務省からお金をもらっている組織の職員ですが大丈夫です」って答えがあったので
A. 有識者について,個別の言及がありました点については,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。有識者の方々には,専門的な知見に基づき,それぞれ公正な判断をしていただいた状況と考えているところです。
Q. 利益相反関係は問題ないという御認識でよろしいでしょうか。
A. 今回の案件について,しっかりと,専門的立場から,公正に判断していただいたことが極めて重要な点であると,私は受け止めているところです。
こうなった、と。
大臣回答に納得できないのはいつものことながら、私はそもそも「最終報告書」を公開した際、有識者は別紙。って書いて、しかもその別紙は公開を省略されていた、っていうあたりで語るに落ちているよね。って思うの。
■大丈夫で思い出した大丈夫は大丈夫じゃない、って記事(=雑まとめ)
■先週も言及したロシア人の続報
■プレスリリースの文言に反応するのもどうかと思いつつ、ちょっとこれどうよ
6.なぜ今後のミャンマーが有望なのか
・失業者増大、貧困増大により出稼ぎ需要増大、よい人材が集まる
あなたはもう忘れたかしら。2020年4月の炎上案件。
ミャンマーの人たち、いっぱい来るよ。って岡村と同じことを言ってますよね。
頭オカシイと唾棄するのは簡単なんですけど、ちゃんと勉強する体制をつくりあげることで、そんなことを考えるに留まらず「公言してしまう」ひとこそハズカシい社会になるべき。そう考えます。