夜露のこと。
夜にお外で過ごして、ある程度の時間が経つと車のフロントガラスや外で使った荷物のあれこれが濡れていることがほとんどです。今の時期、まだ日中の気温が高くて湿度も低いのに、夜になると夜露でぐっちょりになる季節でございます。
珈琲カップを置いているテーブルがじっとりと濡れる。
しばらく座っていなかったイスの座面が湿っている。
撮影中のカメラのレンズが曇る。
望遠鏡のレンズが曇る。
接眼レンズの見口レンズが曇る。
あちらこちらが夜露で濡れてしまうんです。いくら気温が高い時の湿度が低くても、空気中の水蒸気量はあまり変わりません。その水蒸気量のまま気温が低くなると湿度が高くなります。例えば、日中の気温が32℃で湿度50%だとします。これが夜になって気温が24℃になると湿度は77%ほどまで上昇します。経験上、湿度が80%を超えたあたりでレンズなどに夜露が付く事を経験しています。冷たいコップに水滴が付くのも同じ理由です。
(よかったら「飽和水蒸気量」の事をググってみましょう。)
夜露で濡れてしまったテーブルやイスの座面はタオルなどで拭いてしまえば良いんですけど、あまり触りたくないレンズ類(カメラレンズ、対物レンズ、接眼レンズ)などが濡れてしまうのは本当に困ります。
レンズが夜露で曇ると困るのは皆さんいろいろな対策を講じてらっしゃいます。具体的な対策として市販の「レンズヒーター」を使う事が多いようです。電熱線が入ったベルトをレンズの周りに巻いて適切な温度へほんのりと温める製品です。実は温めすぎも良くありません。特にEDレンズやフローライトレンズは温度変化に敏感で、温度上昇によりピントが変わったり星像が悪くなる事もあるんです。なので、個人的見解ではありますが「夜露が付かない程度に可能な限り低めの温度で温める」のが正解ではなかろうか?と思っています。更に考慮する事はレンズヒーターの電力使用量です。一般的にヒーター類は電力使用量が大きいので、使用するヒーターとバッテリー容量の組み合わせで使用時間がどのくらいになるのか?もよく確認しておく必要があるでしょう。
カメラレンズや望遠鏡対物レンズにはレンズヒーターを巻ける長さの市販品がありますが、接眼レンズに巻けるレンズヒーターはほとんど市販されていないのが問題です。濡れてしまった接眼レンズを車のヒーターで乾かす事も良くやる事ですが、エンジンを掛けて車を温めてからになる事も必要であまり気分の良いものではありません。ドライヤーやレンズヒーターを使わずに接眼レンズに夜露が付かないようにするには何かのケースの中に入れておいたり、キャップを付けてポケットの中で温めておくことくらいしか思い浮かびませんでした。
使わない接眼レンズはケースに保管。
夜露が付くのは気温の低下と湿度の上昇。
冷たいコップに水滴がつく。温かい湯呑には水滴は付かない。
レンズヒーターで温めると夜露は付かない。
飽和水蒸気量と温度の関係。
「そうか。ヒーターを使わなくても接眼レンズをほんのり温めておけばいいんだ。」
接眼レンズを保管しておくケースを発泡スチロールのケースに。(保温と防湿)
ケース内をほんのりと温める熱源としてヒーターを使わず人肌に温めた水を使う(加温)
発泡スチロールBOXの底に500mLのペットボトル2本を横倒しに入れておき、ペットボトル内には温めた水(30℃~35℃)を入れておく。ペットボトルの上に接眼レンズを置いてレンズ自体が冷えないようにしておく。
暗闇での観望中取り出しや収納には若干の面倒さはあるものの、「夜露を付けない」という初期の目的は達成できております。望遠鏡へ取り付けた接眼レンズは冷えていきますが、夜露が付いたら取り換えて露取りすれば良いだけで、小さな視野レンズを暗闇の中で清拭することもドライヤーの熱風を吹き付ける事もなく、ドライヤーの準備も必要ありません。ペットボトル2本の温水量は1リットルです。気温が5℃の夜に使ってみて4時間ほどはほんのり温かい状態でありました。温水を準備する事が面倒と感じなければ「夜露を付きにくくする」という所期の目的は達成したという事で良いかな。年初の気温が低い時に試用してみてある程度の成果を確認できたので今回記事化してみました。