通勤路で待つ、身を乗り出す木
ご自分が、どちらかというと、
朝型か夜型か、つかんでおられますか?
私は子どもの頃から、目覚めがよくて
朝から(朝のうちは)機嫌がよかったので
きっと子どもの頃からずっと
朝型なのだと思います。
朝型でも夜型でも、どちらでも。
人それぞれ、と思います。
が、自分にとって大切なことをするのに
適している時間帯をつかんでおく、
というのは、
かなり大切なことのような気がします。
その時間帯に、眠っていたり、
他のあまり大事でないことを
したりしないために。
さて。
なぜこの話から始まったか、というと。
今朝は、この話について書く、と
早朝やってくる何かに、うながされたから。
今朝は書かないつもりだったのだけど…
先日、稽古ごとの先輩と
電車の車中で長めの時間、
お話しする機会がありました。
先輩がこう言われます。
「通勤のとき、大きな公園の中を通って
毎日通っているのだけど、
途中に、とても気になる木があるの」と。
「びよーーんと長く伸びた枝1本だけで
生きているみたいなのよ」とも。
「種類は、キリ?」
で、写真を見せてもらいました。
木の形を読むためのレクチャーを
一度受けてもらうと、
この木の歴史は、一見してすぐに
わかるようになるのですが、
こうなった理由がちゃんとあります。
さて、この木は、
どうしてこのような形をしているでしょう?
答えを簡単に書きます。
樹種は、イイギリ。
漢字で書くと、飯桐。
英語では、ライス・パッキング・ツリー
という、と聞いたことがあります、
ホントに?ですが。
理由は、葉っぱがとても大きくて
ご飯を包むのに使っていたから、らしい。
で、この木の形、ですが、
こんな風な形の木は、実はたくさんいます。
横に長く伸びているのは、
確かに、もとは、大枝でした。
ですが、今は、この日当たり側に
横向きに長く伸びているのは、
枝でなく、
枝を支える幹として生活しています。
なぜか?
理由はわかりませんが、あるとき、
もともとあった幹の上の方を
失ってしまいました。
で、仕方ないので、
その時に位置的に一番上にいた元気な大枝が、
「仕方ないな、じゃあ、後は、まかせとけ!」
とリーダーを交代したからです。
だから、歴史を読み解くと、
この木は、幹が傾斜しているわけではなく、
幹の上方がなくなって、
その後、横枝が長く伸びて太くなった木、
ということになります。
今の役割としては、「幹」ですが、
もともとは「枝」だから
横に伸びていくのは当然なのです。
それにイイギリは、まっすぐした性格。
他の広葉樹みたいに、
幹や大枝を細やかに曲げて調節する
なんてことはやりません。
樹木としては、短めの生涯を
できるだけまっすぐに突き進み、
早く成長して、「太く短く生きる」タイプ。
で、こんな形なのです。
そういう理屈は知らなくても、
木を眺めて楽しんだり愛でたりできます。
ですが、どうでしょう?
木の形からわかる歴史が教えてくれること。
どの木も、ほとんどの木は
人生は順調なことばかりでない。
何かしら苦労を強いられて、
でも、めげることなく暮らしています。
「じゃあ、今度はどうする、自分?」
といつも、生き延びるための作戦を立て
着々と実行しているのでは、と思われます。
で、先輩には、そんな話をして、
毎朝、この木のそばを通るとき、
木にはっきりと挨拶してから
通るとよいと思います、と伝えました。
きっと、木も
何かしら、返してくれるのでは?
と思います。
「一見すると、傾いて見える木なので、
管理で、切られたらどうしよう」
と先輩が心配しておられました。
で、申しました。
誰かを何かを見守る意識をもつと、
それが電波として飛んでいき、
相手に影響を与える、
という検証を見たことがあります。
これは、何度やっても、そうなります。
よい電波を邪魔することを
わざわざしなければ。
だから、いつもこの木を見守る気持ちを
もっていれば、管理の人の目を
うまくすり抜けられるかもしれない、
と。
雑談中に、たまたま飛び出してきた
誰かが気になっている一本の木。
その写真を見せてもらうことで、
自分も大いに楽しませてもらえます。
私は、勝手に、
「もっと光を!と身を乗り出す木」
と名付けました。
お金のまったくかからない
楽しい趣味の世界です。
よろしければ、ご一緒にいかがでしょう(笑)