猛暑で思う、水やり8年の意味 後編
植物は、体、葉を冷やすために、水を必要としている、の続きです。
直射日光が照りつけているものの表面は、あっという間に50度とか、金属などでは、さわるとあっちっち!となります。
だから、今は、ステンレス製の手すりには、ビニールが巻き付けられていますよね。
でも、葉っぱは、いつ触ってもひんやり。
なぜかというと、気孔から、さかんに水を蒸発させて、葉面やその回りの空気を冷やし続けているからなのです。
理由は、温帯で暮らす植物の光合成の適温は、20~25度くらい、それを超えて30~40度にもなると、組織がダメージを受けてしまい、光合成できなくなるから。
だから、植物は、光を受けつつも、高温のダメージは受けない、というなんとも難しいことをやってのけているのです。
では、体を冷やすのにどれくらいの水が必要?を調べた結果、体を冷やすには、光合成に必要とする水の100~200倍くらいを必要としている、と言われています。
結構な量ですよね?
暑い時期は、確かに、土も植物体も乾燥しがちに見えます。
で、少量の水をちょこちょこ、頻繁にやりたくなります。
その方が、親切に思われる。
で、「水やり8年」となるのですね。
土は、本当にしっかり下の方まで乾いていますか?
まだ深い層には水が残っていて、過湿になっていたら、その層で暮らしていた根は呼吸困難で死んでしまい、根は浅い層に集まってきます。
そうすると…?
今度は、乾燥にさらに弱い体質に変わります。
本来は、深い層まで根の発達した植物の方が、環境変化にも対応しやすく、ストレスにも強いのに。
だから、植物には、できるだけ自力で必要なことをやってもらい、人間が余計なことをしないことが重要。
その適量の見極めに、8年という長い年月と経験が必要ということなのでした。
うまい水やりとは、あげるときは十分な量をやり、それを植物が吸収し尽くして、土が深い層までしっかり乾いてから次をやる。
農家さんは、水をやりたくなっても、植物の様子を見ながら、かなり我慢すると聞きます。それができれば、植物が自分で水を吸い、根を深くまで伸ばせるので。
暑い時期こそ、植物のみずみずしい緑にほっとして救われます。
ですが、その植物は、静かに、かなりの苦労をしつつ、暮らしています。
そうやって生きていることに気づけたら、植物を見る目や接し方が、少し変わりそうな気がしますよね。