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生きものの変動の不思議さ、これも魅力のひとつ、なんでしょうね。

国の天然記念物の並木を見てきました。

国の天然記念物に制定されてから、
今年で100年を迎えるそうです。
記念すべき年なので、
記念講演などのイベントも
予定されているそうです。

何年も前から、ずっと見続けていると、
年々、そして確実に、
紅葉・落葉の時期が遅くなる印象を受けます。
ここに限ったことではないですけどね。

それにしても、
今年は、他とくらべると
少々不調?な木以外は、
まだまだ緑色の葉をどっさりつけていて、
今年はわりとよく稼げたかな?
という印象を受けました。

ケヤキは、おもしろい性質をもっています。
どういうことかというと。

翌年の芽の方向性を決める、
言い換えると、翌年のためにつくる芽を
葉芽にするか、花芽にするか、
夏の時期に決めています。

その時期に、かなり乾燥状態だな、
と感じると、
稼ぐよりも繁殖に力を入れよう、
と判断して、
花芽をつけることに決めるようです。

そのような判断をすると、
翌年の春に伸びる枝は、
花芽と小さな葉がついた小枝になります。

このような枝は、
だいたい10㎝前後の長さのことが
多いと思いますが、
秋以降、実をつけたまま、
小枝ごと、風に乗って飛んでいきます。

理由は、繁殖に特化した小枝だから、
小さな葉が、プロペラの役割をして、
種子をできるだけ遠くに運ぼうとしている、
と生態学的には、説明されています。

そのような枝は、秋になると
濃い褐色の葉の塊が目立ち
ふつうの赤や黄色に紅黄葉する葉とは、
様子がはっきりとちがうので、
木の水分状態のめやすにされています。

高温乾燥が続いている近年は、
年変動はあっても、
毎年のように多く見られた褐色の小枝が
今年は、なぜか少なめ。

去年の夏は、あんなに暑かったのに…?

その代わり、
少し赤みを感じる明るい茶色や
きれいな黄色に色づいている。
しかも、いつもよりも大きな葉の着いた
見慣れぬ種子散布用の枝が
あちこちに落ちているのが見られました。

通常は、種子散布用の濃い褐色の小枝は
わりと長く木についたまま。
実際に、例年通りの濃い褐色の枝の多くは
まだ木についたまま、でした。

何が違って、今年はこうなのか?

「定点観測」は重要、とわかっていても、
一定の条件で、ある環境や生物を
長く見続ける、というのは、
意外とむずかしい気がします。

後で考察の材料として使えるような記録を
きちんと残すとなると、
もっとむずかしい。

ですが、なんとなく、でも
多くの人が環境に関心をもって
身の回りを見つづけていれば、
あれ?と思えることも多くなりそうです。

愛の反対は、憎しみでなく、無関心である、
ともいうように、
実は大切なものに、
気持ちを寄せる余裕がなくなる、
ということは、
あわただしい現代には起こりがち、
な気がします。

何か自分が気持ちを寄せる対象を
これから選ぶとすると?
樹木は、本当におすすめです。

私は、絶対的な、樹木推し。

いつでもその場所にいて、
訪れるのを待ってくれている存在は
樹木しかいない、と思います。

その樹木の中でも、
天然記念物といえば、です。

100年を迎える府中のケヤキ並木では、
古木と呼ばれる立派な木に加え、
後継樹として育てられている
いろんな世代の若い木も暮らしています。

よろしければ、
ここのケヤキに会いにお出かけ下さい。

春の芽出し時期の新緑、
秋の紅黄葉の色のバリエーションの豊かさ、
大きな木の緑陰の心地よさ。
長く生き続けて来た木の圧倒的な存在感。

たくさんの楽しみを人に与えてくれていますが、
今年の本格的な紅黄葉は、まだこれから。

なんて書いていると、
自分がまた見に行きたくなりました。
後悔しないように、行こうかな。

予想としては、今年は乾燥害が少なめのようなので
紅黄葉が特にきれいなはず、なので。

おすすめです!






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