植物が育つ人？　そうでない人？

昨日、稽古事の帰りの車中、
植物ネタでおもしろいことを思い出しました。

先輩の中に、植物を、なぜか、なんでも、
すごくすくすくと育てられる方がいます。
命がけの、と言っても過言でない
身体を張ってのハードなお仕事を
されている男性なので、
ギャップあり、意外？と
密かに思っているのですが。

そして、この話題で、ご登場願うのは、
対極的に、植物が、なぜか、
いつもうまく育たない方。

樹木医、という職業は、
なってみると、周りが樹木医ばかり、
になりがちなので、世の中、
自分と同じような感覚の人たちで
満たされている、
と勘違い状態になりがちです。

ですが、仕事以外の世界に入り込むと、
「え！　樹木医？　
初めて会った（驚きの眼）」
という反応をしばしば受けて、
おもしろいやら、不思議やら。

で、その次におきるのは、
「質問攻め」です。

「勤務先の学校の木に
カミキリムシが入ったけど、
殺虫剤は何を撒けばいい？」とか、
耕作放棄の水田に、
○○を植えようと思うのだけど、
どうすれば？」とか、
「譲り受けた畑の端に、
ダチュラの激しいブッシュが
あるのだけど、どうしたらいい？」とか、
いろんなおもしろい質問をしてもらえます。

で、ある方の質問は、こうでした。

「風水で、玄関に観葉植物を置くとよい、
と言われ、買って置くんだけど、
そのうち枯れる。どうしたらいいかな？」

最初は、お話を聞いて、
「植物が、何か言いたそうに
していることがあると思うので、
それを聞いてみて下さい」。

その後の答えは、こうでした。
「そう言われても、よくわからないよ。」
「で、また枯れちゃった。だから、
次は、枯れにくいという、
モンステラにしてみる」

聞くと、何万円かする、
高価な観葉植物を奮発して購入するものの、
しばらく玄関に置いておくと、
葉が黄色くなり落葉したりして
そのうち枯れる。
その繰り返し、だそうです。

で、最終的にはこう言われました。
「なんか、どれ試しても、
みんなダメみたい（さすがに諦めるよ）。」

一方、すくすくの方は、
植物を触り、愛で世話をすること、
植物とのやりとりというのか交流を
楽しまれていて
たくさん写真も撮られています。

ときどき、最近はこんな感じ、
と写真を見せて下さいます、
いつも、とても楽しそう、
うれしそうに。

東向きで朝しか日が当たらない、　
というマンションのベランダには、
ヒサカキや、
花束だった葉ボタンの背の高く育った鉢植え、
枝をさし木して増えたの、などなど
次々と増えていって、とてもにぎやかです。

でも、困ったふうでなく、
にこにこしています。

この方のお話を最初に聞いて、
驚いたこと。
神棚に供えているサカキ（ヒサカキ）の水を
朝晩替えていたら、
そのうち根が出てきたから、
鉢植えにした、とのこと。

で、写真を見ると、まだ低木ですが、
ちゃんとこんもりした木になっていました。
ホームセンターに持って行けば、
苗木として売れそうなレベルの大きさです。

ミニトマトも、12月までは生きていて、
背丈が1.8ｍのポールでは足りなくなった。
だから、来年は、最初から朝顔みたいな
あんどん仕立てにして、
ぐるぐるさせて育てる、
と、にこにこしていました。

身近な方から、植物に関して、
真逆な様子を聞かせてもらって
考えさせられました。
そして、感じたことです。

お話を聞く限り、ですが、
植物と一緒に暮らすとき、
意識の方向が、
自分（人間）に向いているのか、
植物に向いているのか、
その差で、植物の育ち方にも
こんな違いが出るのだな、と。

育つ方は、植物のイキイキ、
スクスク生きる姿を
眺めることを心から楽しみ、
相手のしてほしいことをキャッチして、
生活の手助けをする。

枯れてしまう方は、たぶん、
自分の幸せの追求が関心の的で
それをかなえるために、
植物を利活用したい、
というスタンスなのかもしれません。
なので、植物そのものには
あまり関心がなさそうです。

この話、よしあしの判断なんかでなく、
ただ、育つ、育たないの違いを
見せてくれる現象として、
とてもおもしろいなあ、と感じました。

昨日久しぶりに、
写真を見せてもらってお話を聞き、
この対比を思い出したので、
シェアしたくなりました。

この関係性、対植物だけ
のことでしょうか？　

私たちのやりかた、ありかたは、
植物（他者）がうまく育つように、
見守り手助けし、
それが、めぐりめぐって
私たちの幸せに
つながっていくものであるのか、
それとも？