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樹木の首が締まる理由(わけ)

イチョウの事故以来、
黙っているのはダメ、
とにかくnoteに何かしら記事を書く、
と決めてから、
あっという間に4ヶ月あまり経ちました。

その間、自分でもあきれるのですが、
まったく計画的に記事を書けていません。

全体構想をつくって計画的に着々もいいかな、
と思いつつ、もっとラフに、
「今日はこれを書いたら?」という、
ひらめきというのか、よくわからない声なのか、
にしたがって、かなり思いつきで、
書かせてもらってきました。

そんな記事を読んで下さり、
時に温かいコメントまで下さった方に、
お礼を申し上げたいです。

せっかく木のことを書くならば、
日頃から樹木に目が行くようになる、
そして、景観の解像度が上がる。

できることならば、
木の季節ごとの魅力を楽しみ、
木の言い分に、ご自分で耳を傾けるのもいいな、
と思う人が増えてほしい、と願っております。

そんなこんなで、
今日は、昨日からのつながりで、
これを書いたら?というのが、朝やってきました。

木の暮らしぶりが目に入るようになると、
時として遭遇するのは、
シュロ縄などによる、木の首締めです。

多くは、幹で生じます。
理屈上は、大枝などでも生じる可能性がありますが。

この現象の行き着く先は、
「幹折れ」です。
仕事をしていると、
ときどき、遭遇してしまうことがありますが、
頻度としてはそれほど多くはありません。
だから油断してしまい、
時として、となるのですが…

私も一度だけ、
街路樹沿いにぶらぶら歩いていて、
ハナミズキがシュロ縄の圧迫で
「幹折れ」しているのに遭遇した経験あり、です。

その理屈を簡単に、
ですが、書いておきたいです。
木が困っていることの中でも、あるあるのケースなので。

では。
木は、葉で光合成をしています。
そこで稼いだ糖は、樹皮のすぐ内側にある
「篩部(しぶ)」という組織を通って、
下に向かって、輸送されます。

ちなみにですが、
篩部は生きた細胞で構成された組織です。

ここで、ちょっとだけ詳しい説明を加えましょう。

木を見たときに目に入る、
コルクでできた部分を
ふつう「樹皮」と言っていますね。
で、木の内部の構造を見るときは、
その樹皮をさらに
「外樹皮」と「内樹皮」の2つに分けます。

外樹皮は、ふつうに樹皮と言っている、
コルクの部分。
樹種によって、うろこ状とか、網目状とか、
いろんな模様がありますよね。
そして、それも、葉のない冬の時期に、
樹種を判断するのに役立ちます。

で、「内樹皮」、これが篩部の別名で、
光合成をしてつくった糖を
「光合成産物(同化産物)」と言いますが、
その糖の通り道になっています。

とここまで書いて、ちょっと不安になる。
ただの慣れ、なのですが、
専門用語的なものが複数出てくると、
大人で真面目な人は、ちょっと…(もうムリムリ)
となったりすることがあります。
ここまで、大丈夫でしたでしょうか?

で、ここからは、専門用語的なものを
ムシして、現象だけ書くことに。

要は、樹皮の内側の通路を通って、
上から下に運ばれている糖が、
シュロ縄などを強めに巻き付けることで、
樹皮(糖の通路)が圧迫されます。
そうすると、それよりも下には
糖が送られにくくなります。

で、下には行けない糖が、
紐よりも上の部分にたまって
次第にふくれてくる。これが「首締め」現象。

この糖の通路が完全に遮断されたら、
それよりも下は養分不足で、
いずれ死ぬはずはず。

なので、木が生きているってことは、
一部は何とか輸送を続けられているのでしょう。

ですが、紐が巻き付けてあって、
木が、年々太っていくにつれて、
首が締まっていった部分の上が
ふくれているということは、
そこで止まってしまっている糖が多くある、
ということ示すのだと思います。

木って、地味な、地道な存在なので、
日々、コツコツと光合成しつつ
静かに暮らしています。

だから、日々、年々の変化には
気づけないことが多いです。
で、あるとき、変化に急に気がついて、
「ええっ! いつの間にか、
こんなに大きくなっちゃって」
とか人間に言われると、
木はとても困ってしまうのです。

きっと、そんなときの心の声は、
「今頃、気づくいて、
そんなに驚くなよ」だと想像します。

要は、木は生きていて、
年々少しずつ材をつくりつつ、
成長しています。

バーム・クーヘンの年輪が、
外側に、一年輪ずつ増えて、
直径が大きくなっていくイメージです。

だから。伸縮性のない紐とか、
ワイヤーなどを、
木の幹にくくりつけておくと、
早ければ、数年も経たないうちに
首締めがはじまり、
年々、それが強まっていきます。

木はかしこいし、
いろんなことができますが、
圧迫する資材をはずす手はないので、
首を絞められるまま、になります。
それは気の毒ですよね。

なので。必要ならば、
巻き付けてもらってもよいです。
その代わり、ときどき、様子を見てあげて下さい、
苦しいことになっていないかどうか。

ここで忘れてほしくないことは、2つ。

一つめ。
木は年々太っていきます、
ゆとりがあったはずの紐やワイヤーは、
すぐにピチピチになります。
そして、締め付けにより、
生活が苦しくなること。

人間への影響でいうと、
安全でもなくなります。
極度なケースでは、
そこで折れますから。

二つめ。
生きるために不可欠の糖は、
樹皮のコルクのすぐ内側を通っています。
ここを圧迫されたり、傷つけられると、
木は困るんです、ということ。

紐やワイヤーのすぐ上がひどく膨れているのは、
「そろそろ限界よ! なんとかして!」
という助けての叫び声です。

そうなってしまったら、できるだけ早く気づいて、
紐やワイヤーは取り除くか、付け替えましょう。

ということで。
整理された記事の書き方ではありませんが、
何かが、次はこれを書け、
といってくる気がするので、
それに逆らわず、
これからも書き続けたいと思います。

今回は長くなってしまいました(汗)が、
これからも、よろしくお願いいたします。


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