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歴史家ルドルフ・ムラゼックのこと

時代を作ったとも、学派を作ったとも言えないけれど、広く実力と独創性を認められているインドネシア史家でルドルフ・ムラゼック(ミシガン大名誉教授)という人がいる。いきなりこう言っても伝わらないだろうけれど、彼の音楽性がすごい。そう思わないと彼のすごさがわからないとさえ最近は思っている。

彼の文章を読むと、その時代の音やリズムが聞こえ、その町の匂いや、新しい技術の日常的興奮などが感じられる。エリック・タグリアコーゾが書評で書いていたけれど、「タイムスリップを可能にしたかのような」歴史家だ。私が「歴史家と歴史小説家の違いが小さい」と書く時に最も文学的な歴史家のひとりとしてイメージするのがムラゼックだ。サイバーパンクのようでもある。

<↑ムラゼックの「幸せな国のエンジニア:ある植民地におけるテクノロジーとナショナリズム」>

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