Epics DAO とは?なぜやっていくのか?
gm! Epics DAO Co-founder の kishi.sol です。
今回は、Epics DAOとは一体なんなのか、なぜやっていくのか?ということについて、思っていることを書いていきたいと思います。
少し長くなってしまいますが、お付き合いいただけると嬉しいです。
Epics DAO は、オープンソースソフトウェア開発の未来を救う分散型自律組織 (Decentralized Autonomous Organization)です。
2022年のデータによれば、全世界のソフトウェアにオープンソースコードが含まれる割合は驚くべき97%に達しています(出典:2022 OSSRA: Synopsys)。オープンソースはもはやソフトウェア開発の不可欠な要素となっています。しかしこの背景には、多くの開発者が困難な状況に直面しているという現実があります。
一般に、オープンソースの開発は無償で行われます。その結果、多くのオープンソースプロジェクトが財政的に持続できず、メンテナンスが中断されることが少なくありません。このような状況は、全体としてソフトウェアのセキュリティリスクを高め、開発者コミュニティに大きな負担をもたらしています。
実際に約80%のソフトウェアが脆弱性を抱えるオープンソースコードを含んでおり、約50%が深刻なセキュリティリスクを抱えています。(2022 OSSRA: Synopsys)
オープンソースの大きな利点は、知を共有し、世界中で活用できることです。一つの部品をオープンソースとして公開すれば、全世界の人がそれを活用して次の部品を生み出すことができます。その連鎖によって、クラウド技術は発展しアプリ開発がしやすくなったり、ブロックチェーンが生まれ、あたらしい経済活動を可能にしたり、最近ではAI分野において革命的なできごとが多く起きており、ついに私達はAIを日々の業務に役に立てるところまでやって来ました。
繰り返しになりますが、現代のソフトウェア開発にオープンソースの存在は欠かせません。オープンソース開発が続かないとなれば、すべての開発者はすべての部品を一から作り始めることになり、開発及びメンテナンスのコストは大幅に上がってしまいます。そして、「性能は似ていて使い方が少し違う同じ目的の部品」が世界各地で再発明され続けるようになり、結果としてソフトウェア開発の進歩は劇的に遅くなります。
オープンソース開発を持続可能な環境にすることで、今後も数々のイノベーションを世界中で活用し、さらに豊かで可能性に満ちた社会を実現することができます。
Epicsはゲーミフィケーションとトークンエコノミクスの力を活用して、オープンソースソフトウェア開発のリソース不足という問題の解決に挑みます。
ここで、「オープンソースソフトウェア開発」というものがわかりづらく、問題が把握しづらいという課題があります。
実際、「オープンソースプロジェクトに寄付が必要だ」と言われても、ピンとこない人が大半だと思います。
そのため、すべての人が目的を理解し、自律的に参加できるように「社会貢献型ゲーム」を構築します。
「ゲーム」と聞くと、グラフィックに優れた家庭用ビデオゲームを思い浮かべがちですが、私達の構築するゲームはどちらかというとソーシャルゲームに近いものです。(怪盗ロワイヤルを覚えていますか…?)
ソーシャルゲームは普段ゲームをやらないライトユーザー層の支持も大きかったのが特長で、誰でも自由にスキマ時間を利用してその人に合ったスタイルで参加できたので、非常に大きな市場を作り上げました。(私自身も色々なソシャゲにハマり、わりと課金をしていた過去があります)
ソーシャルゲームにおいては、例えばクエスト・ミッションやミニゲームに参加しクリアすることでレベルが上がったりポイントを獲得できたりします。
Epics はGitHub issueという、ソフトウェアの現実の課題(バグなど)解決やバグバウンティ、プロジェクトへの寄付、プラットフォームの告知等、現実に価値のある行動がクエストになっており、経験値・各種ポイントやトークン報酬が結びついています。
技術的には、GitHub issues(問題解決)やTwitterでの成果(告知)等をスマートコントラクトで検証することで、報酬の正しい分配を実現しています。
日本はゲーム大国で、「ハマるゲーム」の要素が洗練され続けています。
ゲーミフィケーションとは、この洗練された要素を社会的な活動やサービスに活用することで、2010年頃にでてきた言葉です。
主に活用できるゲーミフィケーション要素としては「ゲーミフィケーションを活用した大学教育の可能性について」[岸本 好弘, 三上 浩二: 2012]という論文にて下記6つが挙げられています。
達成可能な目標設定: プレイヤーは次の行動戦略を立てやすい
成長の可視化: プレイヤーは自身の成長を実感できる
称賛演出: プレイヤーは自身の行動に自身を持つことができる
能動的参加: プレイヤーは自身の楽しみのために取り組んでいる
即時フィードバック: プレイヤーは何が良くて何が悪いか即時に学ぶことができる
自己表現: プレイヤーは全活動を通してステータスを構築、それは独自のものとなる
このゲーミフィケーションにさらにトークンエコノミクスの力を合わせます。
トークンはプログラムできるので、ゲームに組み込むことができ、即時フィードバックが可能です。
送金コストが日本円等の法定通貨に比べて格段に減ったので、今までになかった報酬の分配が可能になりました。
今までのゲーム上のポイントやコインと同じように実際の価値を扱えるようになったのです。
ソシャゲ課金時代、なぜそんなデータに固執するのかとよく訝しげな目で見られたものです。あのデータ、あのステータスの数字には彼らにとって全くの価値が無いからです。ソシャゲでなくとも、RPG内でお金を沢山持っていても社会的なステータスは決して得ることはできませんでした。
トークンエコノミクスを活用したゲーミフィケーションでは、実際に価値を持ったトークンが分配されるため、その数字はより社会的に意味のあるものになります。
繰り返しになりますが、このトークン報酬が意味するところは、オープンソース開発への貢献です。
今ほぼすべてのソフトウェアはオープンソースから作られているため、社会的な貢献を意味することになります。
トークンエコノミーは設定されたプログラム・ルールによって運営されること、そしてトークン価格は市場が決定するため、非常にフェアです。
プロジェクトの初期参加者は、プロジェクトが大きくなる前の不安定で難しい局面から貢献をしてくださっている性質から、それなりの期待値があって然るべきと考えています。
社会的な貢献で価値を認められれば、それに応じてトークン価格が上昇することが期待されるため、プロジェクトの柔軟なスタートが可能です。法定通貨では集めたお金(報酬プール)が期待値の限界であり、レバレッジがかからないため面白みが減ると考えています。
Epicsのように、社会活動のゲーミフィケーション x トークンエコノミクスで色々な社会課題を解決する事例が増えれば社会はもっと楽しく運営できるのではないかと個人的に妄想しています。
子供の頃すべてがゲームみたいに進めばいいのにな、と思ったことがありませんでしたか?
あの頃はとても現実的ではなかったのですが、今の社会はほぼすべてのモノがデータ化されています。
機械学習の発展により、そのデータからより多くの方向性や因果関係を導き出すことができるようになってきました。
データから次の戦略を考え、行動を決める組織が増えてきました。どういうデータ(結果)を集めればどれくらいポジティブなのかということが事細かにわかるようになりました。
そして、トークンは送金コスト・管理コストを減らし、より柔軟な価値分配の形を可能にしました。
良いデータ(結果)をもたらした人には適切なトークン報酬を分配することができます。
このような環境から、いよいよすべての社会行動をゲーム化できる時代がやってきたのだと思います。
私達は、オープンソース開発を持続可能な環境にするために、Epicsというあたらしい経済を創り上げ、未来のイノベーションに貢献していきたいです。
大変長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
これからもEpics DAOの活動を応援していただけると嬉しいです。
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