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2024_0228_本読み

<1328字>

冒頭の写真:
マエアカスカシノメイガ、という蛾だと思います。
この「ノ」は実は「野」なのですが、
言葉の味わいは、
藤原道長(ふじわらのみちなが)とか源頼朝(みなもとのよりとも)などの「の」みたいに感じるのが、いとゆかし。


2月28日(水)は以下を読みました。


『巨匠とマルガリータ』 
ブルガーコフ 著

集英社 世界の文学15 ロシア Ⅲ

お話の冒頭で死んだベルリオーズの頭蓋骨の盃で、血から変わった甘い酒を、女王マルガリータが飲む、という大団円(?)で「悪魔の大舞踏会」は、終わりました。集っていた男女はみんな死体に戻り、腐り、土になりました。壮大な建物も瓦解して、元のサドーワヤ通りのアパートの部屋に戻りました。全てはヴォランドの黒魔術だったんでしょう。
気になったのはこの章の最後の手前で現れたマイゲール男爵。謎のアバドンナと合体したかのようになって、血を吹き、息絶えました。この人たちはどういう人なんでしょう。これから先でわかるのかな?

(音読した人:山崎)





『科学と宗教と死』 加賀乙彦 著

集英社新書

前回の無期囚と死刑囚の違いを書き表していました。囚人でない人も、いつ死ぬかわからないという意味では死刑囚であり、それを意識しないで日常を送るという意味では無期囚である、と書いていました。そんなふうに考えたこともなかったですが、確かにそう考えたらそうです。

フランス留学で、刑務所での研究が成果をあげ、論文が認められ、という様子が実に淡々と書かれていました。

とてもわかりやすい整然とした文で、なんというか無表情みたいなことを感じました。

(音読した人:こいでさん)





『犬が星見た』 武田百合子 著

岩波文庫

パッソーニというジョージア(文中ではグルジア)の食べ物が出てきました。金山寺味噌に似た、納豆のように粘る、豆の発酵食品らしいです。
前にちら読みした『謎のアジア納豆』(高野秀行 著、新潮文庫)を思い出しました。もしかしてこれも「納豆」か?
泰淳さんが可愛らしい笛つきの動物ゴム人形を「全部買い占めたいくらい」って真顔で言ってたり、またまた吐瀉物(の主が龍馬に似てる、いや三島だ)の話だったり、ゆがんだ顔で笑えました。

(音読した人:きよもとさん)





『漱石・子規往復書簡集』 和田 茂樹 (編集) 

岩波文庫

明治27年に入りました。まず、月日順にその年の漱石と子規のできごと。

前回、明治26年は子規が旅をして『はてしらずの記』という紀行文を書いてることがわかったので、それをチラ読みしてみたんですが、やっぱり列車使っていました。開通したばかり(明治24年に上野、青森間が全通)の列車に乗っていくって最先端を楽しんでる感じ。病弱な自分でもこれなら芭蕉になぞらえた旅ができる!って思い付いたんじゃないか、と思いました。

前々々回の『新潮日本文学アルバム』の、子規の絶筆を介助したのが河東碧梧桐で、その碧梧桐と石川九楊の展示を見た、というきよもとさんの話。
碧梧桐が「書」についても非常になにか考えのあった人だったと初めて知り、ここにも興味津々となりました。

見聞きしたことを持ち寄ってもらえるのが、とても楽しいです。

(音読した人:めいさん)

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