【公立病院改革 番外編2-1 奥羽旅情 行き当たりばったり】
無事に一日のうちに、宮城県、青森県の二団体のヒアリングを終えた。
小ぶりの雪が降る中を、ヒアリングを終えた病院を出て歩き始めた。
一応、2団体訪問のついてのスケジュールは立てて行動していたが。
何時にどうなるか不確定だったので、どこにも宿泊予約をしていなかった。
このとき、なぜ、最寄駅に歩いたりタクシーに乗るなどして、ホテルのある街に出ようと思わなかったのか。
なぜ、市街地とはいえ、見知らぬ街を当て所なく歩き始めたのか。
その辺りの自分の考えや判断の理由は、全く覚えていない。
案外、手元現金の不如意とか、その程度の理由だったのかもしれないが、定かではない。
近くに街道があったので、いずれコンビニや飲食店が出てくるだろうと、呑気に歩いていた。
ところが、行けども行けども、何も出てこない。
雪はさらに激しくなっていく。
住宅はボチボチあるが、駅がどの方角なのかも、分からなくなってしまった。
当時はまだスマートフォンなどない、携帯電話でGoogleMAPも見れない。
雪が降り荒む田舎町を、ひたすら歩く羽目になってしまった。
寒いし、ハラも減る。
何でもいいから、早く出てきてほしい、、、
世の中に飽きるほどある、コンビニも呑み屋も、こんな時に限ってちっとも出てこない。
奥羽旅情にほのかな憧れを抱いて歩きだした自分の無計画さと、愚かさに、とても腹が立ってきた。
このとき、降雪の中に「八戸税務署」の看板と建物が鮮明に浮かび上がってきたことは、不思議と印象深く記憶に留まっている。
と、そうこうしているうちに、住宅の間に一軒のスナックが出てきた。
ああ、あそこでいい。
すぐ入ろう。
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