岸野 康之

岸野 康之

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公立病院改革5-3【プロポーザル・エントリー】〈2008年〉中国地方S病院 104床

その年末に本件プロポーザル競技について、市から依頼があった。 依頼文の中では「貴社を含め3社を指名させていただいた」の記載がある。 他の2社が何者かは分からないが、3社で提案を競うことになる。 受託金額は、予算額で指定されていた。 市が指定する業務メニューは次の通り。 ・財務分析等による経営診断 ・役割・昨日の最系統 ・経営改善指導 ・健全化計画の策定 ・運営形態を含めた病院の方向性 一見、がっちり決められているようで、進め方については自由度が高いものと解釈した。 市

    • 公立病院改革5-2【初めてのコンペ】〈2008年〉中国地方S病院 104床

      今回話に出たS病院は、長らく業績悪化が続いているという。 実際に既に、154床あった病床のうち50床については、当時流行っていた「老健転換」したばかりだった。 その市の中心地には大きい公的病院があり、その市のハズレにS病院がある。 そんな状況から見て、実はすでに時代的な役割を終えているのでは? と、当時の第一印象だった。 ともかく、そういう病院についての業務受託に向けたお誘いを受けたが。 もちろん一(部)議員の裁量で、特定のコンサルを入れることなどできない。 議会で予

      • 公立病院改革5-1【ヘリの流れから】〈2008年〉中国地方S病院 104床

        医師通勤用ヘリコプターの事業に一年間従事し、文句を言いながら続けていたが。 その中では業務上の出会い、業務を超えて語れる大切な出会いも生まれてきた。 あるときボスから「ヘリを導入したい議会があるから行ってくれ」と言われ、中国地方のある県に赴いた。 行って話を聞いてみると、 「確かにヘリの話は面白いと思う。  面白いことを言う会計士さんがいるものだ。  でも、お願いしたい事項は別にある」 という。つまり、別の業務を相談したいということだ。 その業務は、まさに公立病院

        • 公立病院改革4-最終【10年早い着想】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          僕が本件辞任を申し出た2日後、ボスから本件ヘリ事業そのものを撤退すると、mail連絡があった。 ヘリ事業がスタートしてから1年、少しずつ手伝ってくれる職員などはいた。 しかし、もとより僕がいないと回らない事業だったので、僕が退いたら事業は終結せざる得なかった。 事務所自体もクビになるか、よくても非常に怒られるかと思っていたが、ボスは案外さっぱりしたものだった。 ボスのこういうところには、後年とても救われたし、そこも含めていまも大変感謝している。 その後、ヘリ事業に係る関

        公立病院改革5-3【プロポーザル・エントリー】〈2008年〉中国地方S病院 104床

        • 公立病院改革5-2【初めてのコンペ】〈2008年〉中国地方S病院 104床

        • 公立病院改革5-1【ヘリの流れから】〈2008年〉中国地方S病院 104床

        • 公立病院改革4-最終【10年早い着想】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-24【事業化断念へ】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          当方内でレシプロ機か、タービン機かと揉めていた頃には、すでに相手自治体は医師通勤用ヘリを断念していた。 確かに当方は、頑張って営業はしても、納得いく価格もノウハウも先方に提供できていない。 自治体側は、タービン機の運航価格を知った時点で、本格導入は諦めたようだ。 最初から後ろ向きのまま走ってきた僕も、ここが潮時だと思った。 ヘリ業界とヘリコプターの特性を知るほどに、会計事務所が思い付きで手出しできる領域でないと真に理解できた。 ボスは諦めがつかず、僕に当該自治体との契約

          公立病院改革4-24【事業化断念へ】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-23【折り合わない価格】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          ある自治体と、通勤用ヘリをチャーターして飛ばすためのプロジェクトを立ち上げる、と合意した。 ところが、肝心のフライト価額が、我々の想定をはるかに上回ることになる。 以前記したが、ヘリコプターは(僕の認識上は)次のエンジン態様に区分される。 ・レシプロエンジン機 ・シングルタービン機 ・ダブルタービン機 結論としては、ダブルタービン機が時代の主流であるが、これが最も価額が高い。 年間チャーターすれば、億円に達する予算が必要になる。 何人が乗るか? いつ乗るか? 誰

          公立病院改革4-23【折り合わない価格】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-22【ヘリチャーターの基本合意】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          ヘリパイロットというプロのヘリ関係者の加入で、ヘリ事業で売上が立つ、というムードも出ていた。 しかし実務の中心にいる僕から見ると、その人の加入は単なるコスト増であり、売上に繋がる要素は何もなかった。 確かに対外的に、「プロもいる」と言えることは、営業面でのプラスになるとは言える。 しかし、営業して売るものが確定していないのだ。 客に提供できるサービスが何か、未確定なのだ。 僕は多くのヘリ会社の人たちと直接協議していたから、ヘリ会社がこの事業をどう捉えているか理解できてい

          公立病院改革4-22【ヘリチャーターの基本合意】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-21【パイロット雇用】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          悲喜こもごも、ヘリコプター狂騒曲は、何だかんだと続いていた。 収益は1円も生まれないまま、コストばかりがかさんでいく。 でもボスのすることだし、そこは僕が考えることではない。 また、実のところ収益は求めていないだろう、と考えていた。 だって。 当方側は全員が片手間で取り組んでいる。 全員、無知か、半端な知識しかない。 資本は、一切ない。 これで新事業をやろうというのは、かなり無理がある。 しかもこの事業、熱意ある人ほど片手間で、実務は僕にのしかかってきている。 本

          公立病院改革4-21【パイロット雇用】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-20【ヘリ搭乗記】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          ヘリに搭乗したことが2回ある。 一度はちょこっと乗っただけなので、搭乗とも言えない。 本当はそのちょこっと、の1回が面白かった。 ホームページに、某大手ヘリ会社協力の下で 「医師が飛び立つ動画を撮影して掲載しよう」 という企画があり、僕が白衣を着てヘリに搭乗して「ちょこっと」飛び立ったのだ。 ところがその動画は、登録機体の利用許可やらの都合で、upできずお蔵入りとなった。 事業には後ろ向きな感じだったのに、これが掲載されなかったのはとても残念だった。 生来、僕はどこか

          公立病院改革4-20【ヘリ搭乗記】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-19【オスプレイとヘリ】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          ヘリコプター事業に携わった中で、何度も話題に出たのがオスプレイだ。 この機体は、僕も何となく心惹かれるものがある。 オスプレイは「ティルトローター」と呼ばれる方式を採用している。 ティルトローターとは、簡単に言えばプロペラの角度が変わることだ。 離着陸時にはヘリコプターのようにホバリングはできるし、空中で「飛行モード」に変形すれば、飛行機のように水平飛行ができる。 タテにもヨコにも飛べる、かっこいい無敵の機体といえるし、飛行マニアの間では人気が高い。 しかし一方で、マ

          公立病院改革4-19【オスプレイとヘリ】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-18【学会への抄録寄稿】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          あるとき、日本航空医療学会という学会への論文寄稿のお誘いがあった。 そこで次の趣旨の、抄録を寄稿している。 この抄録の内容が、きっと当時のこの事業の成立思想や志を、一番正しく記したものだと思う。 僕が書いたのか、ボスが書いたのか、合作だったかは、もう忘れてしまったが。 僕も事業性に疑問を持ちながら、成立思想や志は本物だと感じていたのは、偽らざる事実である。 「へき地・離島の病院や診療所に日常的に医師が異常に不足しており、最低限の医療供給体制に支障が生じている。国及び自

          公立病院改革4-18【学会への抄録寄稿】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-17【有名病院への訪問】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          議会にお呼ばれしたときに訪問するだけでなく、こちらからも積極的に有力な病院に訪問した。 なかでも印象深いのは、某県A病院への訪問だった。 A病院は医療界にいれば誰でも知っている、地域医療の雄であった。 また近隣に山岳地域も有しており、病院に屋上へリポートも完備している。 何かの仕事でボスがニアミスしたことがあるということで、M氏と僕で訪問することになった。 そしてA病院の名物理事長と、名物事務局長にお会いし、当社の活動をあれこれと説明していく。 最初から理事長、事務

          公立病院改革4-17【有名病院への訪問】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-16【県議会向け説明会】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          少しずつ問い合わせが増えていく中で、県議会からの説明会の依頼なども出てきた。 そういう県は、既に防災用ヘリなどが大切な社会インフラとなっている地域である。 その県で、医師通勤用ヘリコプターの話が聞きたいというのだ。 こういうとき、主たるプレゼン担当はM氏、パワポ作成とQA担当は僕、という役割分担になっていた。 僕は一応、生粋の事務屋であり法律家修業中だから、役割分担としては、まあ妥当だと思う。 ただ従前、書いてきたように、僕はあまりヘリコプターのことは知らない。 しかも

          公立病院改革4-16【県議会向け説明会】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-15【中国地方 訪問】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          あるとき、中国地方・某県の市議会議員たちが、本件に着目した。 こういう案件の芽があると、基本的にMと僕が飛んでいくことになる。 結論としては、この市議会からのオファーは、まったくヘリ関係の話にならなかった。 しかし、O県の市議とはいまでも連絡を取り合う間柄だ。 そしてH県の市議とは当時、ヘリの話はすぐ終わったが、公立病院コンサルの業務発注に向けて動いてくださった。 僕は事業そのものには懐疑的、後ろ向きだったが。 こうして人の縁や仕事の縁が広がっていく肌感覚は、あとで思う

          公立病院改革4-15【中国地方 訪問】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-14【ハイコストな乗り物】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          当初、この事業で一病院が用意すべきコストは年間2000万円程度でないか、といわれていた。 妥当といえる根拠はなく、そのくらいという認識と金額が、独り歩きしていた。 しかし、実際は一ケタ違った。 ヘリが一機飛ぶために、多くの設備と人が稼働することになる。 当然、機体を安定的に確保しておかなければいけないから、機体の維持コスト等もかかる。 何となく、髙い乗り物だろうとは思っていたけれど、これほどまでとは、、、 という驚きがあった。 因みに、先に機体の種類を記したが。 レ

          公立病院改革4-14【ハイコストな乗り物】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          公立病院改革4-13【やたらな場所には降りれない】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業

          飛び立つ場所もそうだが、着陸する場所が極めて重要だ。 飛び立つ場所は、空港とか倉庫とかヘリポートなどだ。 それらの場所は飛ぶために整備されているから、何か問題になることもない。 しかし着陸する場所が、極めて重要になる。 まず、航空法で定められたヘリポートに発着することが基本だ。 それから、緊急時などに離着陸することを、申請して登録されている場所にも着陸できる。 それは学校のグラウンドや、球場などの広い場所である。 ただ、どんなヘリコプターでもそういう場所に着陸できるわ

          公立病院改革4-13【やたらな場所には降りれない】〈2007年〉医師・通勤用ヘリコプター事業