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公立病院改革3-25【消滅による失職 1】〈2006年〉東北170床 公立F病院

実は半年以上のコンサルを経てなお、僕と、僕の事務所のボスたちが分かっていなかった、この病院の本質的な問題があった。

まず一つは、雇用の問題である。

そもそも、地方公共団体の病院なのだから、公設民営であれ何であれ、職員の身分を守るのが当然であろうと思っていた。
ボスも様々な先行事例に関わる中で、「公設民営で民間に移らなかった職員などは、市の本庁でどこかに配置される」と言っていた。

しかし、一部事務組合(企業団)の場合は、違った。


一部事務組合という「特別地方公共団体」が消滅すると、そこに勤務する職員は「失職」することとなる。
組合の構成市には、失職した職員を再雇用する義務も、再雇用する必要性もないのである。


「失職」とは馴染みの少ない言葉だが、いくつか使われるケースはある。

まず政治家が総辞職ほか政治的事情により、議員職を失職することがある。
これは比較的理解しやすいところだ。

また公務員法等では、公務員が罪を犯したり法に抵触したために「欠格条項」に該当することとなり、失職することはあり得る。


しかし、この事務組合の解散による失職発生というのは、私たち民間人だけでなく、現地の構成市や組合内の関係者たちも衝撃的であったようだ。
皆さんきっと、言われれば「そうだったの?」という感覚はあったかもしれないが、日常においては純然たる公務員であるわけだから、意識としては青天の霹靂だったと思う。

それでも能天気で無知な私は、この局面にあってなお、失職した職員たちには構成市が再雇用の道を開くのだろうと思い、特に心配をしていなかった。


しかし実際に事態が動いていく中で、実はそんなに簡単な話ではないということが理解できてきた。


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