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【R18】それを恋を呼ぶなら 第3話「その声が僕の名を呼んだ」
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その日の夜は、なかなか寝付けなかった。目をつむると昼間見た光景が浮かんでくる。するとまた股間が固くなってしまい…考えるのは彼女のことばかりだった。よく知らない彼女を、沙耶のことを。
数日後、僕はまたも、彼女の部屋を覗いていた。その前日もその前に日も、覗き見をしていたのだけれど、彼女は庭を眺めたり、本を読んだりして、あの妖しい行為はやらなかった。でもその日は、期待に満ちた僕がこっそり見守るなか、椅子に真っ直ぐに腰掛けた彼女が、彼女の手がそろそろと自分のスカートをめくり始めた。白い素足があらわになる。
「ねえ。そこにいるんでしょう」
急に彼女がしゃべった。僕に背を向け、まくり上げたスカートの中に入れた手もそのままで。
「ねえ。光輝くん」
はっ。えっ。
名前を呼ばれた。
僕の名を呼んだ。
まさか。
まさか、彼女から呼ばれるなんて思ってもみなかった。びっくりした僕は、とっさに逃げようとした。気づかれてしまった。こっそり覗いていたのを彼女に気づかれた。でも。
「逃げないで。怒ったりしないから。ね」
部屋の中から聞こえてくる声がそう言った。普通の声だった。普通の、女の子の声だ。初めて聞いた、彼女の…声。
怒っているようではなかった。だから僕は立ち止まった。
「こっちへ来て。わたしのそばに来て」
呼んでいる。彼女が僕を呼んでいた。何が起きたのか理解できないまま、その声に引かれるように、僕はふらふらと歩き出した。
「部屋の中へ、こっちへ来て。光輝くん」
また彼女の声がした。ドアを開け、中に入る。彼女の部屋の中へ。
左の壁際にベッドがあった。白いシーツに畳まれた白い毛布。その横に机がある。机の脇に棚があって教科書とか参考書が並んでいる。窓を挟んで反対側にあるのはタンスのようだ。母のものよりも小さい。かわいらしいランプと壁際のスツール。それに彼女が腰掛けている椅子。それだけだった。なんというか、スペースが余っている、部屋の大きさに対して家具の数が少ない。漠然とそう感じた。
「こっちへ来て。わたしのそばに来て」
彼女が呼んだ。これが彼女の声なんだと思った。呼ばれたとおりに彼女に近づく。剥き出しになった白い足に僕の目が釘付けになる。その手は相変わらず白いスカートの中に…。
「こっちよ。わたしの前に。そう。そこにいて」
誘導されるままに、彼女の斜め前に立った。
「じゃあ、そこで見ていて。光輝くん」
えっ、と声が出た。名前を覚えてくれていたのは嬉しかった。しかし、どうしたらよいのかわからない。
「見たかったんでしょう。光輝くん。だから、そこで見ていて」
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