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【こんな映画でした】229.[ピカソ-天才の秘密]

2020年 9月17日 (木曜) [ピカソ-天才の秘密](1956年 LE MYSTERE PICASSO THE MYSTERY OF PICASSO フランス 77分)

 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督作品。なんとあのピカソ(撮影当時74歳)に目の前で描いてもらって、その過程を撮影するというもの。その筆の運びの速いこと。ただ後半のようにコマ落としになっているとしたら違うのだが。

 それにしても躊躇・遅滞なく、スラスラと浮かび上がってくるものを描いていっているようだ。あげく、一晩中でも描けるとピカソ自身が言っている。強烈な体力でもある。タバコを吸いながら、で。

 後半の油絵になると、何度も何度も描き直しをして、イメージがどんどん変化していく様が分かる。女性の顔一つとっても、目の形・髪型・表情など、いろいろと試している。

 お終いの方で、闘牛士と牛を描いているが、はじめは牛の頭部がきちんと普通に(?)描かれている。その顔の部分だけでも何度も色を塗り替えてもいる。にもかかわらず最終的には、あの普通の牛の頭部は消え去り、あっちとこっちを向いたものとなっている。そう、ゲルニカの中の牛のように。

 つまり最初は、きちんとしたデッサンが描かれていて、そこからスタートして変化していくということのようだ。「泣く女」などもそのように描かれたのかもしれないと思った。

 一枚の絵を描き終えるまで、映像では10分だったが、現実には5時間掛かっている、と紹介していた。イメージが出来上がるまで、何度も描き直していく忍耐と体力。絵を描くということは、何とも大変な凄まじいことであるかと思い知らされる。

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