【こんな映画でした】113.[春との旅]
2021年 5月21日 (金曜) [春との旅](2009年 日本 134分)
2010年 6月19日 (土曜)に映画館で観て以来。さすがに忘れていたところがあった。そして、あらためて「春」役の徳永えりの演技に見入った。もちろん仲代達矢・香川照之のにも。今回観てもやはり良い映画だと思った。小林政広監督作品。
内容は「リア王」だろう。とことんどうしようもない好き放題の人生を送ってきた老境の男(仲代達矢)が、兄弟の間を順に彷徨っていく。それは何故だったのか。孫娘・春のためのものであったかもしれない。春もそれがとことん分かったので、改心して故郷の増毛に戻っていくことに。ただその最後の決断は、幸せなものとして実を結ぶことはなかった。祖父との最後は、列車内でそれも増毛駅にまもなく着く頃。そのアップで映画は終わる。
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兄弟のない私には分からないところだ。兄弟にはやはり甘えてしまうのだろう。これくらいはしてくれて当たり前だろう、兄弟なのだから、と。兄弟は他人の始まりともいうが、それぞれ止むに止まれぬ事情というものがあるのだろう。かえって血の繋がりの薄い方が、上手くいくのかもしれない。厄介なことだ。
最後の解決方法は「死」しかないのかもしれない。一度祖父がヤケを起こして「死ぬ」と叫ぶが、どこまで本心かは怪しい。むしろ「生きたい」という叫びと解すべきだろう。
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