
【こんな映画でした】678.[サボタージュ]
2020年 8月31日 (月曜) [サボタージュ](1936年 SABOTAGE A WOMAN ALONE イギリス 76分)
ヒッチコック監督作品。どうもイギリス時代のは、いま一つ乗り切れない。今作もそうだ。ヒッチコック自身が「観客が映画の登場人物に同化することが絶対に必要」(『映画術』P.89)という原則に外れているからだろう。
主演女優はシルヴィア・シドニーで、撮影当時25歳くらい。ちょっと変わった感じの女性。その夫役はオスカー・ホモルカ、撮影当時38歳。当初はピーター・ローレが予定されていたとのこと。
妻の弟が時限爆弾と映画のフィルムを持って、街中をウロウロするシーンはスリリングではある。時折、時計を表示して爆発時刻が迫っているのを何度も見せるところも。子どもだから、街中での大道商人たちに目を奪われるのも致し方ないのだが、それをうまく使っている。
刑事役はなかなか男前だが(ジョン・ローダー)、ミスキャストということで不評のようだ。私はあまりそのようには思えなかったが。[わが谷は緑なりき]の男兄弟の一人として出ていたようだ。同様にシルヴィア・シドニーも、もう少し目の表情などニュアンスがあれば良かったか(ヒッチコックもそのように言っている)。
ミスといえば、ヒッチコックはやはり『映画術』で、子どもを爆死させたのが失敗だったとも。たしかに人気者は、子どもと動物である。それを死なせるというのは、観客の共感を得ることは難しいだろう。