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【こんな映画でした】812.[ギリーは幸せになる]

2023年 3月16日 (木曜) [ギリーは幸せになる](2016年 THE GREAT GILLY HOPKINS 98分 アメリカ)

 スティーヴン・ヘレク監督作品。[陽のあたる教室](1995)を観ている。ソフィー・ネリッセにキャシー・ベイツ、そしてハリス先生役のオクタヴィア・スペンサー(これまで何本か観ている)。2019年 7月16日 (火曜)にアマゾンプライムで観て、これは良い映画なので手に入れたいと思っていたもの。今回二度目となるが、やはり良い映画だったとの感想を持った。子どもたちにぜひ見せてやりたい映画の一つだ。

 人生にハッピーエンドはない、とトロッターさん(キャシー・ベイツ)に言わせている。その通りだろう。セカンドベストがせいぜいであり、それで十分に満足しておくのが人生を幸せに送る極意であろう。

 以下は初めて観たときの感想。
 予想通りの良い映画であった。もちろん、私がそう思う、ということだが。やはり原作が良ければ、あとは余程脚本と監督のセンスが悪くない限り良い映画となるものだろう(であってほしいものだ)。

 原作の小説は、児童文学とされるキャサリン・パターソンのもの(邦題は『ガラスの家族』)。その題名は映画の原題と同じである。本当はこれが当たり前なのだが、邦題にするとき、どうしても日本の映画会社は変えてしまう、それもどちらかというと陳腐なものに。それは映画を観る日本人たちを信用してないということでもある。もっと原題を生かした邦訳にすべきだ。

 しかしこんな映画が日本では未公開とは。アメリカの評論家たちの不評を真に受けたとしか思えない。こういう真っ当な映画を「映画評論家」たちは評価しない、あるいは酷評する。それはまるでこんな普通にまともな映画を推奨したら、自らの肩書きに傷がつくと思っているのかもしれない。ナンセンスである。

 最近読んだ『「こどもと映画」を考える 13才までに見せたい名作映画50ガイド』(キネマ旬報社 2012年)風に言えば、「小学校高学年から」のおすすめとしていいと私は考える。

 主役のギリーは撮影当時14歳のソフィー・ネリッセ。彼女のは[ぼくたちのムッシュ・ラザール] (2011)・[やさしい本泥棒] (2013)に続いて3本目となる。監督のスティーヴン・ヘレクという人は初めて。

 原作に書かれていることだが、様々な問題、それもこれから先、子どもたちが直面し、考え、解決していかなければならないことが多々描かれている。そういう意味もあってだろう、児童文学の世界では定評のある本なのだ。

 ギリーの境遇を思えば、彼女のこれまでの行動も宜なるかなであり、その良き理解者があまりにも少ない現状に彼女も、そして見ている私たちも憤慨せざるをえない。しかもその現実が今もなお続いている。

 なおソーシャルワーカーは小説では女性だが、映画では男性とされている。魅力的な人たちとしては、里親のトロッターさんと学校のハリス先生の二人が印象深い。人は人によって幸せになっていけるということだ。その出会いが難しいのだが。

 もう一度邦題に触れると、せめて「ギリーは幸せになる」ではなく、「ギリーは幸せになった」とでもしておけば納得だ。

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