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【こんな映画でした】249.[どん底]
2020年 9月29日 (火曜) [どん底](1936年 LES BAS-FONDS フランス 92分)
ジャン・ルノワール監督作品。ゴーリキー原作の小説の映画化。小説は未読。黒澤明の[どん底]は観ているので、おおよそは。
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主役はペペル役のジャン・ギャバンと男爵役のルイ・ジューヴェ。男爵は博打で大負けし、仕事上の機密費まで使い込みすってんてんになって、ボロ宿に転がり込んでくる。それでも自由を満喫できて満足の様子。
他のこのボロ宿の住民たちも、何もないけれど自由があることを謳歌しているようだ。日々の生活は厳しくても、何よりも自由がある、と。あらためて私たちにとっての「自由」というものの意義が分かろうというものだ。
人間関係、それは男女間の愛情というものと、同性間の友情といったものが重要な要素としてある。ここではペペルとワシリッサ(人妻)、そして彼女の妹ナターシャとの愛憎があり、いま一つ盗みに入った男爵邸の男爵との男同士の友情とが描かれている。サラッとした気持ちの良い友情として。
ラストシーンは、ペペルとナターシャが二人してそのボロ宿を出て行くところ。前を向いて道を歩いて行く二人を写しながら、まるで車の後部座席から後ろを撮影するようにして遠ざかっていく。彼らの姿が小さくなっていき、終わる。
これはチャップリンの[街の灯]やルネ・クレールの[自由を我等に]でも使われている趣向。もっともこちらの二本は、ともに前を向いて歩いて行く二人の後ろ姿だったか。