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【こんな映画でした】682.[トパーズ]

2020年10月 2日 (金曜) [トパーズ](1969年 TOPAZ アメリカ 125分)

 ヒッチコック監督作品。主役はフレデリック・スタフォード、ハンサムというにはやや微妙なところ。撮影当時41歳。初めて。51歳で飛行機事故で亡くなっているようだ。

 キューバでの亡き革命家の妻役カリン・ドールが魅力的。撮影当時31歳。[007は二度死ぬ](1967)で観ている。トパーズの黒幕はミシェル・ピコリ。見たことのある顔だと思った。その子分は何とフィリップ・ノワレであった。あの[ニュー・シネマ・パラダイス]は、この映画の20年後のもの。

 米ソ冷戦時代の1962年、あとで出て来たのだがその10月の話。アメリカはケネディ大統領、その顔写真があった。つまりいわゆる「キューバ危機」を扱っている。スパイ合戦というか、まずはソ連の高官がアメリカへ亡命してという緊迫したシーンから始まる。

 いずれにせよ大国のエゴ、それもイギリスの陰謀による東西冷戦でいかに多くの人たちが政治に利用されて死んでいったことか、と見ていて辛くなる。映画の主人公はフランス人でアメリカとソ連の間の二重スパイ的な働きをしている。

 そんな主人公に私たち観客は共感して映画を観ていくことになるのだが、そのような政治状況に利用される主人公にはどうしても全面的に乗っていけないわけだ。

 とまれなぜヒッチコックがこのような彼らしくない映画を作ったのか、やや疑問とするところだ。あとでヒッチコックの『映画術』を読んで、その製作の経緯が分かった。やはり不本意なものであったようだ。

 印象的なシーンとしては、コルドバが射殺されて崩れ落ちるところ。スカートがフレアして広がるところを俯瞰で撮っている。もちろんスカートが勝手に広がるわけはないので、細工をしてあるだろうが、美しいともいえる。

 特典映像で違うラストシーンが収められていた。一つは決闘、もう一つは飛行機に乗ってそれぞれ違うところへ出発するもの。その後、新聞の一面を見せて、その新聞が公園のベンチに置かれてお終い。そこは同じに。私としては飛行機でそれぞれが出発していくものがベスト。甘いのかもしれないが。

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