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【こんな映画でした】   1.[おとなのけんか]

2022年 2月 2日 (水曜) [おとなのけんか](2011年 CARNAGE フランス/ドイツ/ポーランド 79分)

 ロマン・ポランスキー監督作品。見始めてすぐに、これは舞台劇ではないかと思った。案の定そうであった。見事な脚本であり、四人の演技である。原題の「CARNAGE」とは「殺戮、大虐殺」を意味する名詞とか。たしかにこの四人のやりとりを皮肉っぽく表現すればこうなるのだろう。

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 妻役にジョディ・フォスター(ペネロペ役、撮影当時48歳)とケイト・ウィンスレット(ナンシー役、撮影当時35歳)。夫役にクリストフ・ヴァルツ(アラン役、撮影当時54歳。[ゼロの未来](2013)を最近観た)とジョン・C・ライリー(マイケル役、撮影当時45歳。[めぐりあう時間たち]・[アビエイター]で観ている)。

 一気に観てしまうくらい上手く作られた脚本である。ただ撮影には6週間掛かっているとか。そして監督の指示で、セリフはすべて暗記していたとのこと。流れを良くするためにも必要なことだったのだろうが大変であったろう。
 舞台劇だと思ったのは、場所がほとんどペネロペたちの家から離れなかったからだ。何度か帰ろうとして、その場所を離れようとしたが、その度にいろいろとあって、また元の部屋に戻ってくるのだった。

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 なおオープニングシーンとエンディングシーンは同じで、公園の一角をじっと映し出すものであった。最初のシーンで子どもたちがトラブり、一人の男子がもう一人の男子に棒を振るっているのか遠目に見えただけ。もちろんこれが切っ掛けの事件であったことが、次の室内のカットで直ぐ分かることになる。

 ラストシーンは机上に置かれていた、そして生き返った(?)携帯電話のアップである。まだこれからも延々とこの四人のやりとりは続くことを暗示しているのかもしれない。映画はそれとお構いなく終わるためにオープニングシーンと同じ公園で人々の姿を遠目に映し出しながら終わっていく。

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 このコラム「【こんな映画でした】」は。――映画を観たら、何かを感じ、何かを考えます。そんなときのメモです。2022年 2月 8日 (火曜)

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