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【こんな映画でした】406.[雨のしのび逢い]

2021年 5月10日 (月曜) [雨のしのび逢い](1960年 MODERATO CANTABILE フランス 105分)

 ピーター・ブルック監督作品。初めてか。辻邦生の本に紹介されていた。氏は実にこの映画を10回以上観ているとか。ジャンヌ・モロー(アンヌ役、撮影当時32歳)が良い。魅力的だ。ある種退廃的な。対してジャン・ポール・ベルモンドは撮影当時26歳くらい。若い。

 二人の出会いは、偶然と必然とがないまぜに。つまり一年ほど前に最初の出会いが。といっても工場の園遊会のようなところで、彼が工場主夫人としての彼女を遠くから見ただけであった。つまり彼女からすれば、その事件のあった日が初めての偶然の出会いである。そして一目惚れということだろう。

 男女の愛情というものは難しいものだ。今の生活に飽き飽きしている結婚後8年の女性。男の子を溺愛している。それは夫との関係の裏返しであろう。

 この監督の独特の映像表現は、間を取りながら主人公たちの心理・心境を私たちに感じさせる。どちらかというと寒々とした風景の点景・ショットは本当に冷ややかなものを感じさせる。

 人と人との間に愛情がなければ、世界はそのようになってしまうものなのだろう。それにしてもこの映画では、キスシーンがない。もちろん息子ピエールとは執拗にキスをするのだが、ショーヴァンとはついに一度もない。

 ラブシーンというか、「しのび逢い」のシーンは、せいぜい肩と頭を抱く程度なのだ。年齢的にいってもアンヌが年上なので、若者が年上の女性に憧れるということなのかもしれない。

 原題は「モデラート・カンタービレ」。中ぐらいの速さで歌うように、といったところか。それがどうしてこの邦題になるのか。辻邦生も嘆いている。封入されていた解説は、相当の深読み(?)で、なかなかそこまでの理解は難しい。また再度観ることになるだろう。

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