【こんな映画でした】966.[フライト]
2021年10月19日 (火曜) [フライト](2012年 FLIGHT アメリカ 138分)
ロバート・ゼメキス監督作品。デンゼル・ワシントン主演、アル中のパイロット役。彼を立ち直らせようと協力する写真家役にケリー・ライリー。
この映画は、ある種の批判を目的としているようだ。つまり実際に乗客を救ったという事実よりも、その前にアルコールを飲んでいたというルール違反を厳しく問うということ。人々の命よりも、規範が大事だという矛盾を指摘しているようだ。実質より形式。だから乗客が全員死んでいても、機長にアルコールの形跡がなければオーケー(?)ということになるわけか。
飲酒運転というのは、基本的に良くないものだが、ただそのチェックの際の基準には問題がある。つまり体重や分解物質を持つかどうかなどの個体差があるわけで、それを外して一律にこれこれ以上の数値が検出されたらアウトというのが現実なわけである。そのおかしさ・客観性のなさを私たちは気付かされる。
仮にアルコールが検出されたとしても、結果として機体の故障を何とか乗り越えて着陸させた功績をこそ顕彰すべきではないか。あるいは司法取引的な、免責にするとかはないのだろうか。そのようなことを考えて作られた映画なのかもしれない。
あとは夫婦仲が上手くいかなくなり離婚し、子供とも交流できない父親が、ますますアルコールにのめり込んでいく様がシビアに描かれる。さらに言うならアルコールとセックスに。
しかしそんなことで解決するわけはなく、ここでも断酒会のようなところに行っているが、早々に会場を後にしてしまう。友人・知人の協力も虚しいものとなっている。それが現実だろう。そんな簡単に立ち直れるものではないのだ。
娯楽映画と思っていたら、結構シビアで、やや長い尺だが観てしまった。