見出し画像

【こんな映画でした】1037.[ホテル・ニューハンプシャー]

2019年 9月10日 (火曜) [ホテル・ニューハンプシャー](1984年 THE HOTEL NEW HAMPSHIRE 109分 アメリカ)

 何とも奇天烈というか奇想天外な展開の映画と言うべきか。(原作の小説はジョン・アーヴィングで、文庫本で上下二巻という長編。)これも辻邦生の『私の映画手帖』に紹介されていたもの。見るまでは映画についての情報無しだったので、ジョディ・フォスターが出ていたのでうれしい驚きであった。撮影当時21歳くらいか。

 監督のトニー・リチャードソンは[長距離ランナーの孤独](1962)をいずれ観たいと思っている。で、今回が初めて。あとナスターシャ・キンスキーがスージー役で出ていたが、観てるときは気が付かなかった。

 様々なエピソードがあるが、何よりなるほどと思ったのは、姉弟間の愛情についてのこと。一般的には近親相姦として否定され非難されることについて、見事な解決をここで見せてくれる。つまりその「きょうだい」としての愛情を昇華させ、それぞれが成長し大人の恋愛をしていくために必要なプロセスを、ここではサラッときれいに見せるのだ。

 私たちも日々の生活の中で、社会的な規範の制約を受けて実行できないことがあるものだ。そんな時の解決方法として、仏教的に言うと「煩悩を明らかにする」ということ。これが良いのではないか、ということ。感心した。

 ラストシーンは、アメリカに戻り、ホテル・ニューハンプシャーの前の広々とした芝生で、彼ら家族たちが踊る。それを遠景にしながら流れるテロップは「夢は過ぎ去るもの。しかし人生は生き続けていかなければ」といった主旨。

 母と弟を失い、父親は失明し、妹は自殺するという悲劇があった上でのラストシーンなのだ。なんとも強烈なハッピーエンドである。

 なお図書館にてDVDで観たのだが、映像の画質の悪さには辟易させられた。やはりブルーレイディスクでないと、と思わせられた。

いいなと思ったら応援しよう!