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【こんな映画でした】524.[少女ムシェット]
2020年11月25日 (水曜) [少女ムシェット](1967年 MOUCHETTE フランス 80分)
ロベール・ブレッソン監督作品。これまた何が何やら、煙に巻かれたような感のする映画だ。これまで同様に考えられるのは、「不条理」ということか。なぜ14歳のムシェットが斯くも無惨な人生を送らねばならなかったのか、
ムシェット役のナディーヌ・ノルティエは1948年生まれで撮影当時18歳くらいか。幼く見える。薄幸の母親役は、マリア・カルディナール、撮影当時38歳。どうやら小説家らしい。
明るいシーンはほぼ全くない。遊園地でのおもちゃの車で遊ぶシーンくらいか。みんなでぶつけ合って楽しんでいる。それも束の間、父親に見つかり暴力を振るわれる。家族の面倒をみないアル中の父親に。母親は死ぬ間際に、ムシェットに「悪い男に騙されないように」と言うのだが、それはまさしくムシェットの父親のことであったろう。
ムシェットは学校でも近所でも、どこにも彼女を受け入れてくれる安らかな場所はない。そして愛してくれ大事にしてくれる人も、母親をのぞいて一人もいない。そんな中で、遊園地で恋人ができかけたかもしれないのだが。
結局、ムシェットを一人の人間あるいは女性として見てくれたのは、密漁をしていた男だけなのかもしれない。一夜を過ごし、彼のことを「愛人」(フランス語でどう言っているのか、聞き取れないのだが。字幕はこの通り)と言っている。これは日本語的な愛人というのとは違うような気がするのだが、分からない。
ラストシーンは一見、遊んでいるように見える。しかし何度も繰り返すのでおかしいと思った次の瞬間、池に落ちたことを音だけで描く。ラストのカットはその池。何も人の姿らしいものは映っていない。
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とことん絶望的な映画であるとも言える。もちろんそれが現実なのであろうし、原作の小説的にもそれが事実なのであろうが。