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【こんな映画でした】496.[サン★ロレンツォの夜]
2020年12月26日 (土曜) [サン★ロレンツォの夜](1982年 LA NOTTE DI SAN LORENZO THE NIGHT OF THE SHOOTING STARS イタリア 107分)
タヴィアーニ兄弟監督作品。ようやく観ることができた。中古でも高くて、なかなか手を出せなかったというのもある。結論的にいうと画質はかなり悪く、まともなブルーレイディスクを普及版レベルで出してほしいものだ。英語版なら三本組で出ているのに。
さて内容はある程度読んで分かっていたが、悲惨の一語に尽きる。オープニングシーンはファンタジーっぽいなごやかなものなのだが、そこから語られていく中味はイタリア現代史の汚点ともいうべきものだ。イタリア人どうしが殺し合うのだから。
イタリアの歴史は複雑で、三国同盟でファシスト政権とナチスが手を組み、同じイタリア人のパルチザンたちを掃討していくわけである。ファシストの面々は黒シャツを着込んでいる。彼らが逃げだした村人たちを撃ち殺していくのだ。
それこそ見知った者どうしが、銃で殺し合うのだ。敵か味方かの区別は黒シャツを着ているかどうかだけ。無惨なシーンの一つに、後に15歳とわかる少年が、その着ていた黒シャツを脱いで村人たちを欺き、その父親(パパと言っている)に射殺させるのだ。子どもたちまで利用するとは。
映画の始まりは結婚式なのだが、その花婿はどうやら脱走兵らしく隠れていた。その後、ドイツ軍の指示で村人たちは教会に集められることに。主人公のガルヴァーノ(オメロ・アントヌッティ)は考えた末、みんなに呼びかけて大聖堂には行かず、アメリカ軍を求めて村から逃げることを提案する。
村人たちは二派に別れてしまうことに。つまり教会にいれば安全は保証されると考えた人たちは残留し、この数日前にドイツ兵が殺されているのでその報復がなされると考えた主人公たちはその夜脱出していく。
その逃避行がメインとなる。その間、ドイツ軍の飛行機が偵察に飛んでいたり、夜は照明弾が上げられたりして緊迫したものとなる。途中、パルチザンと出会い、一緒に小麦を刈ったりするシーンもある。
しかしファシストたちが、その刈り取られた小麦の収奪にトラックで現れ、その付近にいた村人たちを襲撃し殺していくことに。1944年8月の戦争中とはいえ、戦争の場面はなく、このファシストたちと村人たちの撃ち合い(戦闘?)があるのみ。