【こんな映画でした】903.[パリ、テキサス]
2022年11月10日 (木曜) [パリ、テキサス](1984年 PARIS, TEXAS 西ドイツ/フランス 145分)
ヴィム・ヴェンダース監督作品。トラヴィス役をハリー・ディーン・スタントン(撮影当時57歳、これまでに数本観ている)。その妻ジェーンをナスターシャ・キンスキー(撮影当時22歳)、若い。あとその子どもハンター役のハンター・カーソン(撮影当時7歳)が良い。
これまで原題の意味が分からなかった。「パリ」はもちろんフランスのパリにかけてあるが、現実は「パリ、テキサス州の」という意味のようだ。「パリ」と言ってから、一瞬間をおかれると、フランスのそれと勘違いしてしまうのだ。言った方はそのイタズラを楽しんでいたようだ。
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ザッと言えばこの映画は、親子というか家族の愛情問題を扱ったロードムービーといったところだろう。夫婦間の愛情関係にひびが入り、その狭間で子どもが犠牲になっているという状況から、この映画はスタートしている。
まずはその子どもハンターの父親から。彼が砂漠地帯を放浪していて、救助され、連絡が彼の弟ウォルトに。早速迎えに行くことから車での大移動、ロードムービーということになる。理由は飛行機がダメだから、としていたが。
苦労の末、ウォルトの家に到着。4年振りの父と息子の再会はぎこちない。そこから徐々に親子関係を取り戻していくことに。そして父親トラヴィスは、わが子ハンターには母親が必要であると認識し、母親ジェーンを探しにヒューストンへ出かける。ハンターも一緒に行きたいという事で、再びロードムービーに。もっともそれを知って、ウォルトの妻アンは逆上するのだが。
ついにジェーンを発見するのだが、そう簡単には先に進まない。結局、トラヴィスはいまだにジェーンとの関係修復はできないと覚り、ハンターを母親の元にやって自分は消えていく。
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この先彼らはどうなるのだろうか、と思わせながら映画は突き放すように終わってしまう。ウォルトとアンの夫婦は、いずれ養子をもらえばいいだろう。母親ジェーンは息子ハンターと再会でき、一緒に暮らしていくことになるのだろうが、経済的な問題はどうだろう。
そしてトラヴィスは、ひとり立ち去ってゆく。再び放浪生活となるのかもしれない。上手くいけば何年か後、ハンターが説得して三人で暮らせるようになるかもしれないが、それまでには時間が掛かることだろう。