授業動画のハードル
最近学校現場では、ICTが急速に普及している。いろいろな形での需要があって、その需要に応える必要があるからだ。もちろん、ICT活用といっても程度がある。その中の一つに挙げられるのが授業動画の作成だ。
授業動画には多くのメリットがある。オンデマンド式での配信だと、同じ授業を何度でも見返すことができる。また、分からない部分で一時停止をしたり、そこだけ繰り返し再生したりといった工夫もすることができる。分かっている部分に関しては、早送りなどして飛ばすこともできる。授業者は内容をまとめてから配信するので、教材研究もはかどる。
しかし、なんせ手間がかかるのも事実だ。作成の手間もそうだ。でも、私のなかで高いハードルとして存在しているのは、著作権的な手間だ。
我々教師も多くの本や研修の中から学びを得て、そこから知識を深めていくことがある。また、その内容を生徒に伝えたいと考えることもある。ただ、これを授業動画にしてしまうとどうだろうか。本の著者が懇切丁寧に、大きな手間暇をかけて作成した内容を借用し、動画を通じて生徒に伝える。良いようにも聞こえるかもしれないが、私はそこに申し訳なさを感じる。そのような動画を作る際には、もちろん参考文献として紹介する。でも、その参考文献に書かれた内容を私が解説するってのは、なんだかうまく言葉にできないけれど、違う気がするのだ。なんとなく、人の手柄を横取りしてしまうというかなんというか・・・。
法律としての問題ももちろんある。そこも加味すると、授業動画を作るうえでは、この「人の手柄を横取りする」という感覚が、私の前に立ちはだかったなかなか公開に踏み切れないのだ。
まぁ論文や研究の際には、おもいっきり巨人の肩に載せてもらう心積もりなんですけどね。いったいこの感じ方の違いはどこに起因するのやら・・・。
そんなことをぼやきながら、また授業動画を作っていく・・・。