役割とテクニックを"アンラーン"する、離島リモートワークの旅
5/9〜16で、Business Insider Japanさんの企画に参加しました。記事にもある、山口周さんのプログラムにも参加させていただきました。
現地での豊かな時間については、仲間たちの記事がマガジンになっているので、私は特に周さんのプログラムの中で、気づけば考えていた「リーダーシップ」の視点から振り返ってみたいと思います。
旅立つ前の私が陥っていたこと
私は長い間、役割を全うするための「テクニックの罠」に陥っていました。小さな頃から、劇団での役者や、委員長、アルバイトの接客講師、社会人になってからはコーチなど、強い役割認識とそれを果たす喜びに身を浸してきました。
努力して習得した技術は、徐々に自分と一体化し、常にそれを評価される環境にいることで「スキルリスト」が脳内に設置され、そこに「意味」や「体温」がなくても作動できるようになります。最近は自然体に戻ってきたものの、忙しさや疲れが出るとロボット化しそうになります。私は「人疲れ」「コミュニケーション疲れ」していました。
あえて「何のスキルも使わない」時間を過ごす
この旅の良さは、プログラム中も無理して話さなくていい、話したくなったら全部話し切っていい、ここは世界一セキュアな場所だから安心していい、という周さんのセットアップ。まさしくコーチ。
だから完全なる参加者として「自然体で、起こることを受け止める」のみに徹し、「アンラーニング」しようと決めました。
人に疲れたら一人になり、コーチのように話を聞くのはやめて、聞けることだけ耳を傾ける。がんばって質問しない。
コミュニケーション系スキルを全部放棄するのは、なかなか勇気が必要でした。「スキル抜け」の途中は会話がグダグダになったし、「コミュニケーションとは?」とゲシュタルト崩壊状態になりました。でも「完璧な経営者やコーチ」を目指したいのではなく私らしく歩みたいから、もうどう思われてもいいや、と開きなおって。
そして話しながら、起業した頃には「会社=自分」だったけれど、徐々にチームになって「私→私たち」に主語を変換していく中で、私はどの立ち位置でどんな言葉を語ればいいのか?という迷いが生じていたことにも気づきました。
互助による「充足感」
手放してゼロになったところに学びをくれたのは、この島の「不便さ」でした。
リーダーがいないこの集団ゆえの「自分にやれることやろう」を楽しむゆるい小さなリーダーシップは、誰かの不足を際立たせることなく、それを楽しむ「充足感」を生み出していました。
「お味噌分けてくださーい」「車乗っていきますか?」「アラ汁いかがですか?」そうだそうだ、人間らしいコミュニケーションってそういうことだ。スキルじゃなくて、よりよく生きるために人と関わるのだ。
暮らすことの大変さがあって初めて、「なぜ他者と共に生きるのか」の本当の意味を実感しました。そんなことすら、東京では霞んで見えていました。
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もう1つ、今回ひっそりと試したのは、子どもと遊ばないこと。
私は小さな子が大好きです。8歳離れた妹がいて、学生時代は保育園、幼稚園、インドネシアの孤児院、ユニセフでインターンするくらいに。
今回はバンガローの同居人に、5歳の男の子がいました。
でも仕事をしたり、自分と向き合う時間を作るために、できるだけ遊ぶのを控えていました。子どもファーストになりすぎる自分を知っているからです。それでもその子は「ごっちゃん、ごっちゃん」とついてきて、やっぱり可愛い。私も気づけば目で追っている。
内省しながら気づいたのは、私が拓きたいと願う道の一歩目には、いつも子どもの存在があったこと。
接客の大会で優勝する道のりの始まりも、子どもと遊んでいる姿を見た店長の推薦。今の道を志した始まりも、子どもの写真集から。→記事参照
全部の荷を下ろした私に残っていたのは「そこにいる最も弱い存在を慈しむ気持ち」と「挑戦しようとする人を美しいと感じ、応援したいと思う気持ち」の2つでした。
経営する会社で掲げている「一人ひとりの『挑戦のストーリー』を支える環境をつくる」というミッションと、その先にある「エールが連鎖する社会をつくる」というビジョンに、図らずも戻ってきました。
自分をリーダーたらしめるDriving forceは、重荷と評価、小手先のテクニックを削ぎ落とした先に残っていた、「それでも追いかけてしまうもの」の中にありました。テクニックはその実現手段です。
人といるのは疲れるけれど、それでも他者との関わりの中でしか自分を知ることはできません。今回、完全なる旅ではなく「ワーク」を重ねたことで、気づきを少しずつ試しながら、日常に戻る準備ができました。またちょこちょこと、思い出したことを書き留めていこうと思います。
(TOP画像は、一緒にアイランドホッピングツアーした仲間が作ってくれました!)