「気流の鳴る音」オンライン読書会 2020年5月23日/ホリム・ベイ
毎週土曜日の20-22時。気流舎の名前の元になった真木悠介「気流の鳴る音」のオンライン読書会を行なっています。
各自が本の好きな場所を1時間黙読する読書会です。
なので、どの会からでも参加可能です。他の本でもオーケー。
静かに雑音を共有しつつ少しくらいなら喋ってもいい図書館みたいなイメージ。
後半の1時間は、その日、どんな箇所に惹かれたかを共有する時間にしています。その記録。企画はホリム・ベイ。
*参加者A 真木悠介『気流の鳴る音』
『「明晰さにまけないためにはどうすればいいんだい?」
「明晰さを無視して、見るためだけにそれを使い、じっと待って新しいステップに入るまえに注意深く考える。とくに自分の明晰さはほとんどまちがいだと思わねばならん。そうすれば。自分の明晰さが目の前の一点にしかすぎないことを理解するときがくる。こうして第二の敵を打ち負かすんだ」
みてきたようにドン・ファンは「明晰」をひとつの耽溺=自足(indulgnece)としてとらえるが、これに拮抗する力である<意思>についても、これを「明晰な」ものとしている。
前章においてわれわれが幾度かそこにたちもどってきた。カスタネダのコヨーテとの対話についてのドン・ファンのコメントは、この二つの「明晰」の関係をよく示しているように思われる。
コヨーテがしゃべるということをあたまから信じないのが、ふつうの人の「明晰」である。これにたいして、コヨーテがしゃべるということを信じてしまうことが。呪術師の「明晰」である。しかし両方の「世界」がともにカッコに入ったものであり、どちらも「現実」であるということ、「現実」とはもともとカッコに入ったものであること、このことを<見る>力が真の<明晰>である。
「明晰」は「世界」に内没し、<明晰>は、「世界」を超える。
「明晰」はひとつの耽溺=自足であり、<明晰>はひとつの<意思>である。
<明晰>は自己の「明晰」が、「目の前の一点にすぎないこと」を明晰に自覚している。<明晰>とは、明晰さ自体の限界を知る明晰さ、対自化された明晰さである。』
(「気流の鳴る音 交響するコミューン」文庫p99 Ⅱ「世界をとめる」 ——— <明晰の罠>からの解放 / 対自化された明晰さ)
*参加者B 真木悠介『気流の鳴る音』
『カスタネダが「コヨーテと話した」体験を総括してドン・ファンは言う。
「おまえはただ世界を止めたんだ」
「その止まったものってなんだい?」少しあとでカスタネダの質問にたいし、ドン・ファンはまた、こう説明する。
「人が世界はこういうものだぞ、とおまえに教えてきたことさ。わかるか、人はわしらが生まれたときから、世界はこうこうこういうものだと言いつづける。だから自然に教えられた世界以外の世界を見ようなぞという選択の余地はなくなっちまうんだ。」
ドン・ファンによれば「子どもと接するおとなはみな、たえまなく世界を描写する教師であり、その子が描写されたとおりに世界を知覚できるようになるまで、その役目を果たしつづける。われわれがその驚くべき瞬間を覚えていないのは、ただそれと比較するべき対象がなにもないからなのだ。」
いったんこのような「世界」のあり方が確立されると、われわれはそれを死ぬ日までくりかえし再生しつづける。たえまないことばの流れによって。
「わしらは自分のなかのおしゃべりでわしらの世界を守っておるのだ。わしらはそれを新生させ、生命でもえたたせ、心のなかのおしゃべりで支えているんだ。それだけじゃない。自分におしゃべりをしながら道を選んどるのさ。こうして死ぬ日まで同じ選択を何度もくりかえししとるんだ。死ぬ日まで同じ心のおしゃべりをくりかえしとるんだからな。」』
(「気流の鳴る音 交響するコミューン」文庫p85 Ⅱ「世界をとめる」 ——— <明晰の罠>からの解放 / 世界を止める)
*参加者C 真木悠介『気流の鳴る音』
ーもう少し読み込んでからにしますー
*参加者D カスタネダ「呪術師と私 ドン・ファンの教え」真崎義博 訳(二見書房)
『結局、彼は方法はあると言って話を進めた。彼は、わたしが床に座って疲れているようだから、疲れずに坐れるような床のうえの場所(Sitio)を見つけることが先決だと言った。わたしはそれまでひざを胸につけ、すねを抱いて坐っていた。彼にそう言われて、わたしは背中が痛み、ひどくへたばっていることに気づいた。』
(p32 第1部 教え 1わたしの最良の場所)
『しばらくして落ち付くと、彼はどこもが坐ったり居たりするのに良いわけではなく、ベランダという限られた中にもわたしが最良になれる場所が一箇所だけあることを説明してくれた。その場所を他の所から区別することがわたしの仕事であった。おおざっぱに言えばつぎのようなことになる、すなわち、確信をもって正しい場所を決定できるまでに可能性のあるすべての場所を「感じ」なければならないのである。』
(p33 第1部 教え 1わたしの最良の場所)
『 わたしはその二つの場所にはそれぞれ名前があるのかどうか尋ねた。彼が言うには、良い方はシチオ(Sitio)、悪い方は敵と呼ばれ、これら二つの場所は人間の、特に知を求める人間にとっては幸福の鍵であるということだった。ただ自分の場所に坐るだけですぐれた力がわき、他方敵は人を弱らせ、死にさえ至らせるのである。彼は、前の晩にひどく消耗したわたしの力は、わたしの場所で眠ることによって再び戻ってきたと言った。』
(p38 第1部 教え 1わたしの最良の場所)
*参加者 E
佐々木正己
『蜂からみた花の世界 −四季の蜜源植物とミツバチからの贈り物−』(海游舎)
https://kaiyusha.wordpress.com/2010/10/16/蜂からみた花の世界/
*参加者F
ダルちゃん | 花椿 HANATSUBAKI | 資生堂
https://hanatsubaki.shiseido.com/jp/comic2/2228/
*以下雑談
先日の気流舎での「推しフェミ本について語る会」の話に
レポート↓
https://note.com/kiryuusha/n/n86b96738cede
*
茨木のり子『人名詩集』
http://www.dowa-ya.co.jp/books/poem/others/jinmei.html
*
上野千鶴子『家父長制と資本制 マルクス主義フェミニズムの地平』
https://www.iwanami.co.jp/book/b255847.html
*
オノ・ヨーコ『グレープフルーツ・ジュース』
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000197849
「想像してごらん」 オノ・ヨーコの、世界を力強く動かす言葉の力 〈tenki.jp〉|AERA dot.
https://dot.asahi.com/tenkijp/suppl/2017021900027.html?page=1
*
遙 洋子『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』 (筑摩書房)
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480420213/
むかし気流舎つくったかとけんに勧められて読んだ。良い本。
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『ウィッチ・フェミニズム──現代魔女運動の系譜』 | HAGAZINE
https://hagamag.com/category/series/s0064
『ラディカル・フェミニズム理論家であり詩人、ロビン・モーガンがニューヨークで結成したフェミニストグループ”W.I.T.C.H.”の、1968年のマニフェストである。
“魔女とはいつも、グルーヴィで、勇敢で、攻撃的で、知的で、賛成せず、冒険的で、好奇心に溢れ、独立し、性的に解放され、革命的であろうとした女性たちだ。(おそらくはそれ故に、900万人もの女たちが焼かれたのだ。)』
(磐樹炙弦『ウィッチ・フェミニズム──現代魔女運動の系譜』 #01 序論「“私たちのフェミニズム”の耐えられない軽さ」)
*
中沢新一「チベットのモーツァルト」
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151182
*
リサ・ランドール『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000812392007.html
の話がでたけども、本が出たのが10年以上前なので、なんとも。
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ミルチ亜細亜食堂(川崎市麻生区 最寄駅は柿生駅(小田急線))
めちゃくちゃ美味しいらしいです。
*
『ルポ川崎』
サイゾー
https://www.premiumcyzo.com/i/modules/cat/rensai/cat431/
T-Pablowら写した『ルポ川崎』舞台裏 ヒップホップ、多文化共生からみた日本の未来 - KAI-YOU.net
https://kai-you.net/article/60796
*
梨木香歩『西の魔女が死んだ』
https://www.shinchosha.co.jp/book/125332/
*
「気流の鳴る音」は気流舎BASEではステッカーとセットで販売中です。
https://kiryuusha.shopselect.net
*
フゴッペ洞窟 文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/200866
有翼人。
(文責 ホリム・ベイ)
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バーチャル気流舎が楽しくできるのも、下北沢にお店があってこそ。
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