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「気流の鳴る音」オンライン読書会 2020年6月6日/ホリム・ベイ

毎週土曜日の20-22時。気流舎の名前の元になった真木悠介「気流の鳴る音」のオンライン読書会を行なっています。(この日はイレギュラーに16-18時に。昼間も良かった)

各自が本の好きな場所を1時間黙読する読書会です。
なので、どの会からでも参加可能です。他の本でもオーケー。

静かに雑音を共有しつつ少しくらいなら喋ってもいい図書館みたいなイメージ。
後半の1時間は、その日、どんな箇所に惹かれたかを共有する時間にしています。その記録。企画はホリム・ベイ。

*参加者A 真木悠介『気流の鳴る音』

「多くのアメリカ・インディアンの文化においては、その社会の一員は、かならずいちどは、その社会の外へ出なくてはならないことになっている――人間の網の目の外へ、『自分の頭』の外へ、一生にすくなくとも一度は。彼がこの幻をもとめる孤独な旅からかえってくるとき、秘密の名まえと守護してくれる動物の霊と、秘密の歌をもっている。それが彼の『力』なのだ。文化は他界をおとずれてきたこの男に名誉をあたえる。*」
*Gary Snyder, Earth House Hold, 1957. 片桐ユズル訳『地球の家を保つには』社会思想社、1975年、190ページ。
自分の<トナール>を発とうとするとき、彼が出会う最初の敵は、もちろん未知の世界の「恐怖」だ。この「恐怖」を克服したとき、彼は「明晰」を獲得しておそろしいものがなくなる。しかし「明晰」に自足するかぎり、彼はたしかによその土地まで来ているかもしれないけれども、ほんとうに旅立ってはいない。彼は水平に移動しただけだ。
「明晰」を克服するときにはじめて彼は舞い上り、旅の目的<ナワール>の力を獲得する。諸世界を鳥瞰する視界をえた彼は、かつての「明晰」が「目の前の一点にしかすぎない」ことを知る。けれども「力」に身を任せるかぎり、彼は地上に戻ってくることができない。「力」の浮力とわたりあうための垂鉛が<トナール>であることを知って、彼は帰りの途につく。「力」の浮力を克服しこれを自由にあやつれるとき、彼は完璧な<意志>を身につけたといえる。彼の敵はもはやみずからの「老い」以外にはない。地上のあらゆる生命に吹きつける死の解体する風力をみちづれとして、彼は心のある道を歩く。
 けれども彼が自分の<トナール>に戻ってきたとき、それは昔の<トナール>でないことに気付く。幼虫の世界と蝶の世界がおなじ世界ではありえぬように、彼は永久にふるさとにはかえらないのだ。
「人間は学ぶように運命づけられておるのさ。」ドン・ファンが言う。

(「気流の鳴る音 交響するコミューン」文庫p164 Ⅳ「心のある道」 ——— <意味への疎外>からの解放 / 四つの敵・四つの戦い)

*参加者B 真木悠介『気流の鳴る音』

カスタネダはドン・ファンへの最初の訪問のとき、彼が薬用植物についての情報を教えてくれれば、その時間と努力にたいして支払いをする用意があることを申し出る。
「わたしのために働いてくれれば、そのぶんの支払いはいたしますよ。」
「どれくらい払ってくれるんだ?」
カスタネダはこの言い方に欲張ったものを感じる。
「どれくらいがいいと思いますか?」
「わしの時間に対しては……おまえの時間で支払ってもらおう。」
カスタネダは「奇妙な男だ」と思う。価値感覚のズレは本質的なのだ。たとえば貨幣というものによってあらゆる個別の価値が通約され、決済され、抽象され、一次元化される「世界」と、時間は時間、原野は原野、海は海、生命は生命といった、けっして決済され抽象化されることのない個別の価値の次元性のあやなす「世界」と。
 このすれちがいは、インディオの生きる世界から、薬用植物の「使用法」についての情報だけをすくってもち帰ろうとするカスタネダと、植物について知ることはその植物と友達になり、その植物と生きる世界を共にすることだというドン・ファンとの、前提のすれちがいと対応する。
 小さな植物にひざまずき、カラスの声に予兆をききとって畏れるドン・ファンの共感能力があれば、水俣病は起こらなかったはずだ。人間主義(ヒューマニズム)は、人間主義を超える感覚によってはじめて支えられうる。
(「気流の鳴る音 交響するコミューン」文庫p53 Ⅰカラスの予言 ——— 人間主義の彼岸 / 草のことば・魚のことば)
*参加者C 「呪術師と私 ドン・ファンの教え」真崎義博 訳(二見書房)

 「きざみの本当の秘密はキノコにあるんだ。一番集めにくい材料でもある。それが生えている所までの旅は長くて危険だし、正しい種類のを選ぶのはもっと危険でさえあるんだ。そこには何の役にもたたない別な種類のキノコが生えている。そいつをいっしょに乾かすといいやつもだめにしちまうんだ。ヘマをやらかさないようにキノコをよく知るには時間がかかるぞ。悪いのを使うと重大な害が及ぶんだ。人間にもパイプにもな。わるいきざみを使って死んじまった奴をわしは知ってるんだ。
 キノコを取ったらすぐにひょうたんの中へ入れるんだ、調べ直しがきかないようにな。わかるだろうが、ひょうたんの細い首を通すにはこまかくきざまなきゃならん」
「どうしたらへまをやらずん済むんだい」
「注意深いことと、選び方を知ることだ。それはむずかしいことだと言ったろう。誰もが煙を馴らせるってもんじゃないんだ。ほとんどの連中はやってみようともせんよ」
(p95 第1部 教え 3ダツラの体験と煙の準備)

*参加者 D  ヘンリー・D. ソロー『ウォールデン 森の生活』 訳 今泉吉晴(小学館)

*参加者E 益田ミリ『そう書いてあった』 株式会社ミシマ社
https://mishimasha.com/books/soukaite.html

*以下雑談

KENÉ ー精霊からの知識ー
https://youtu.be/A9q-Jp1Lv58

「アヤワスカを摂ると 植物が歌で語りかけ 人間を治癒すると言われている」
「だから 本物のシャーマンは伝えなければならないのです」
「植物の旋律(メロディ)を」
(♪〜 イカロ)


Cristas Icaros - track 7 – SoundCloud
https://soundcloud.com/wild-spirit-2/cristas-icaros-track-7

アマゾンに行っていた友人曰く「都会っぽいね」とのこと。


Herlinda Blessing.mov
https://youtu.be/Bz_JDWdu-PA

両方聞くと言わんとしていたことがなんとなく分かる。どっちもいい。


「アイヌの子守唄に似ている」という話がでて、本当にそう思う。

60のゆりかご アイヌ音声 日本語字幕
https://youtu.be/Un05KNjlUaQ

Twitterでこの映像が流れてきたときはほんとうに心奪われた。
そして、その時は「KENÉ ー精霊からの知識ー」を思い出した。

(文責 ホリム・ベイ)


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