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倍速視聴と等速視聴の違い

動画は倍速視聴、音楽は等速…なぜ?


わたしは動画を1.5倍速視聴する派です。
動画見ていると、本読むほうが速いのに…と思います。資料本とかは速読します。速読を習ったので、文庫本30分くらいで読むことも可能です(日本人の平均読書スピードだと約3時間)。
それとくらべると、動画は時間がかかりすぎるのです。

でも音楽は、等速で聴きます。
当たり前かもしれないけれど。
なんでだろう?ってずっと思ってました。

もうひとつ。わたしは本の再読はほとんどしないのですが、音楽は同じ曲、同じアルバムを何度もリピートして聞きます。
これも、なんでだろう…とずっと思ってました。

名越康文先生の心理学講座で

今日、心理学講座で名越康文先生が「感情移入」の大切さについて話していたのを聞いて、ふと、思いました。
本を読んで得るのは「情報」で、音楽が与えてくれるのは「情動」。
そして感情を揺り動かされる情動を受け取るのには、時間がかかるのではないかと。

考えがまとまらないまま、疑問を先生にぶつけてみました。
すると先生は、その答は心理学の教科書のどこにも書いてないでしょう。でも、今、わたしが回答します、と話してくださいました。

「感情移入っていうのは、儀式なんです。宗教的な作法や、お祭りの踊りや歌にも、徐々に気持ちを高めて体全体で体感していくプロセスがあります」

ゾクゾクッと来ましたよ。
身体性か!と。
音楽を聴覚と考えたから迷路にはまっていたのでした。文字情報は視覚、動画情報は聴覚なのに、音楽の聴覚とは違う。まして、映画やアニメは、視覚聴覚全部使っていて、倍速視聴もするし、等速視聴もする。
どこがどう違うのかと。
聴覚か視覚じゃなくて、「体全体」だったのです。
「体全体で受け止めている」か、「情報として脳が処理しているか」が違っていたのです。

先生はこうも言いました。
「一瞬で体感するってこともありますけれども」
音楽のイントロだけでシビれる、そんなこともあるでしょう。だから、時間の問題でもないのです。
本を読む速度ではなく、体に響かせながら読んでいるかが問題だったのです。
(そういえばわたしが再読している数少ない本は、ドキドキしたりじんわりしたり、お気に入りの心にひびく描写があります)

情動は身体に刻まれる


脳だけが処理した情報は、忘れやすいです。
でも、体に響いた感覚は、ずっと覚えています。
怖い話をいつまでも忘れられないのは、体に響いているからでしょう。

映画やアニメの場合。倍速視聴だと「主人公が異世界で無双する話」という情報が単に記録されるだけですが、ドキドキワクワクしながら等速視聴すると、異世界で主人公と同じ時間を一緒に過ごした体験が身体に刻まれるわけです。

鍵は「身体性」でした。
読書は好きですが、体を動かすのが苦手なわたしにとっては、ついつい忘れがちな盲点でした。

大量の情報収集に速読はとても便利です。
でも、ゆっくりじっくり身体で受け止める読書も楽しんでいこうと、あらためて思いました。
そして自分が発信するときは、身体に響く言葉、身体に届く語り、を意識していこう、と思います。
心理学講座、楽しいです!

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