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「おいしさ」の決め手十カ条

①文章が読みやすい
②興味を惹くプロットをテンポよく展開する
③シチュエーションをわかりやすく示す
④魅力的なテーマを早い段階で示す
⑤主人公および主要登場人物の魅力的なキャラクター
⑥ストーリーの謎めいた展開とサスペンス
⑦イメージ豊かな描写――人物の表情と風景
⑧細部のリアリティーと臨場感
⑨ユーモア・ウィット・ギャグ
⑩深さへの予感

三田誠広『ワセダ大学小説教室 深くておいしい小説の書き方』集英社文庫より抜粋

三田誠広氏の早稲田大学での講義録が基になっている書籍からの抜粋。

深くておいしい小説とは、一言でまとめると、実存主義と構造主義を融合させた世界観を持つ小説ということらしい。

ここで言う「実存主義」とは、個人的な体験はその人独自の体験であるということを意味する。誰もが特殊だという考え方だ。

またここで言う「構造主義」とは、個人的な体験といえども、大きな視点で見れば、大昔から繰り返されてきたことに過ぎない。どんな出来事も普遍的なことだという考え方だ。

一見、矛盾するが、そこを弁証法的に止揚すれば、すばらしい小説ができあがると、三田氏は言う。

日本の文学で言えば、中上健次氏や大江健三郎氏の小説があてはまるらしい。この人たちの真似をするのは、相当難しいが、要は志の問題だ。そう言っている三田氏もそんな小説書けていないけど、志だけはあるらしい。

「深くておいしい小説」とは、このような稀有壮大なものなのだが、それに比べるとこの十カ条は小手先っぽい。

だが小説執筆初心者にとってはとても大切なことばかりだと思うし、新人賞を狙っている人には必須の項目だろう。

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