店の雰囲気を作るのは、店の主役である店員の対応一つで決まるのだ、と知った話
時間に間に合わず日付が変わる。
記事は書いたものの、投稿し忘れる。
note毎日投稿をはじめて三日目。
波乱の幕開けになったわけですが、なんとか毎日投稿は続けられています(まだ二日目ですが)
大々的に記事まで書いて自分の決意を発表したんだから、せめて一カ月は連続投稿できるように頑張っていきたいです。
そのために、きちんと確認作業は怠っては駄目だと教えられました。
昨日の私、ありがとう。
心地よい風を感じながら、商店街を歩く。
老若男女問わず行き来するアーケードは、道幅も広く自分のペースで歩くことができた。
何度か通ったことがあるが、地元にはなかった商店街という雰囲気が私の視線を落ち着かせてくれない。
「あそこのお店、前にはなかったよね?」
「ちょっと見ていこうか」
隣を歩く友人の反応なんて気にせずに、湧きあがる好奇心に任せて進んでいく。
「ほら、着いたよ」
商店街はまだまだ続いている。
目的を忘れて歩き続ける私の腕を軽く掴みながら友人が言った。
広々としたアーケードに馴染む白い木枠に囲まれたガラス扉が印象的なカフェ。
友人がSNSで見つけたというこのカフェの存在は、何度も商店街を歩いていても気づかないほどこの場所に馴染んでいた。
「スイーツが美味しいらしいよ」
と、店の前に立てかけられている看板を見て友人が言う。
瞬時に甘いものを食べたい口になり、私も一緒に看板を見る。
米粉のイチゴシフォン、カモミールティーと様々なメニューが可愛らしい文字で書かれていた。
「中に入ろう」と、スイーツに誘われるように友人が店の扉を開く。
カランカラン。
どこか懐かしいような鐘の音が私たちの入店を知らせる。
五人掛けのカウンター席と四席ほどのテーブル席がある小さな店だった。
「いらっしゃいませ」
レジ兼キッチンから女性の店員さんが出迎えてくれる。
先頭に立った友人の背中と被ってしまい、顔は見えなかった。
そそそ、と私の耳に人の声が聞こえる。
友人が「はい」と言いながら奥の席に向かうのを見て、どうやら席を案内されたようだとわかる。
そこは一番奥の四人掛けのテーブル席。
この店の中で一番大きな席だ。
店内には私たちの他に二人組の女性しかいない。
「広い所に案内してもらったね」と言葉を交わしながら、席に着く。
テーブルの上には店主のおすすめなのか、本が二冊立てかけられていた。
「メニューになります」
ささやくような小さな声。
しかし聞こえずらいわけではない声。
店内に流れるハープのような心地良い音楽と合わさり、落ち着いた店の雰囲気を全身で感じられた。
どうやら女性店員が一人で切り盛りしているようで、客の出入りが激しくなっても一人で対応していた。
そこで不思議なことが起きた。
席が満席になっても、他のお客の声が聞こえないのだ。
広くない店内で、複数で来ている客もいる中でこんなことが起こるだろうか。
客たちは無言で過ごしているわけではなく、口元を見ると確かに動いている。
しかし、声が席まで届かないような小さな声で話しているのだ。
はっとした。
自分でも気づかないうちに、私も友人もそういう話し方になっているように。
それはきっと女性店員の落ち着いた対応と声がこの店を訪れる客たちを落ち着かせ、店の雰囲気を作っているのだろうと。
いろいろな情報を得ることができ、新しいことに挑戦する機会が増えたように感じる現代。
自分のお店を開くことも珍しいことではなくなってきている。
私はこの店を訪れてわかったことがある。
それは、コンセプトを大事にすることだ。
どういうお店の雰囲気を作りたいか。
女性店員がこの店のオーナーなのか、アルバイトなのか分からない。
けれど店の主役である店員の対応一つで、そこに訪れる様々な考えを持った人たちが影響される様は見ていて感動した。
しっかりとしたコンセプト、軸があればブレることはない。
一人で注文を取り、調理までこなす女性店員の姿を見て、その日初めて店を訪れた私は尊敬の眼差しを向けながら紅茶とケーキを頬張った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?