優先順位がたがひに二番であるやうな間柄にて梅を見にゆく/荻原裕幸『リリカル・アンドロイド』

この歌は関係性の描き方が非常に巧みな歌だと思う。

主体が梅を見に行く相手(Aさん)のことを優先順位が二番だと思っているだけではなく、Aさんも自分と同じように優先順位が二番であると、『たがひに二番であるやうな間柄にて』と考えている所に、Aさんとの距離の近さを感じることができる。

またその距離の近さを、『たがひに二番であるやうな間柄にて』とやや曖昧にぼかすことで、よりその関係性に真実味が出てくるように感じる。

初読の際、私はこのAさんを自分の妻、パートナーではないかと思って読んでいた。

ちなみに優先順位の一番は、自分の仕事や、趣味といった自分の大切にしている時間の使い方のことを言っているのかと読んでいた。互いの時間を尊重し合えるパートナーと、梅を見に行くのは素敵だな~と、そう感じていた。

ただ、そうなると『たがひに二番であるやうな間柄にて』が夫婦やパートナーの事を言っているにしては若干ぶっきらぼうに感じる。ともすれば、Aさんは友人と読む方が自然なのかな・・・と最近は読みが変わってきた。

いずれにせよ、主体の気持ちのあり方であったり、Aさんに対する信頼の大きさはきちんと読者に届いていて、非常に巧みな歌だと感じた。

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