【大学入試問題解説】2変数関数(出典:東大・文系2000年第2問)
こんにちは。今回は東大の問題を取り上げて2変数関数について解説していきます。
問題
まずは、問題を見てみましょう。余裕のある人は下にスクロールせずに自力で解いてみましょう。
概要
出題範囲:関数(I)、座標平面(II)
難易度:7 (1 ⇦ 簡単 難しい ⇨ 10)
標準解答時間:25分
2変数関数の基本問題です。2変数関数は高校数学ではあまり習うことのない内容ですが、難関大の入試問題では度々出題されるテーマですので、しっかりと解けるようになっておく必要があります。
解説の前に
そもそも2変数関数って何?と思われる方も少なくないと思います。中学・高校で習った関数は「1変数関数」と呼び、変数が$${x}$$のみの関数です。例えば、
$${y=2x-5}$$
$${f(x)=e^x}$$
$${f(x)=\displaystyle\frac{x+2}{\sin{x}}}$$
などはすべて1変数関数です。動く値(変数)が1つしかないからです。それに対し、例えば
$${z=2x+5y-1}$$
$${f(x,y)=x^2+2y^2-4y+9}$$
のように動く値が$${x}$$と$${y}$$の2つある関数を2変数関数と呼びます。2
変数関数の最大・最小を考える時の鉄則があります。
片方の変数を固定して、1変数関数として扱う。
次の例題を考えてみましょう。
まずは$${y}$$を固定して、$${x}$$の1変数関数として最小値を考えてみましょう。$${y}$$が定数であることを強調するために、$${y=a}$$とおいて見やすくしましょう。
$${f(x,a)=2ax+3a^2-6a+8}$$
これは$${x}$$についての1次関数です。$${0 < a <2}$$ですから、傾きが正の1次関数となります。つまり、最小値は$${x=0}$$のときで、
$${f(0,a)=3a^2-6a+8}$$
となります。ここで$${y}$$の固定を外します。$${f(0,y)=3y^2-6y+8}$$の最小値を考えるだけですが、ただの2次関数となります。$${3y^2-6y+8=3(y-1)^2+5}$$となるので、$${y=1}$$のとき最小値5をとります。
このように、1変数ずつの最小値を考えていくのが定石です。では本題に戻りましょう。
解説
まず$${z=1-ax-by-axy}$$とおきます。$${x=X}$$を固定してみると、
$${z=-(aX+b)y-aX+1}$$
と$${y}$$についての1次関数となります。よって、$${z}$$が最小となるのは$${y}$$が$${-1}$$または$${1}$$の値をとるときで、
$${y=-1}$$のとき、$${z=b+1}$$
$${y=1}$$のとき、$${z=-2aX-b+1}$$
のどちらかが最小となります。どちらが最小値なのかは一旦無視して下の式$${z=-2ax-b+1}$$の最小値を考えましょう。これもまた、1次関数となるので、$${z}$$が最小となるのは、$${x}$$が$${-1}$$または$${1}$$の値をとるときです。
$${x=-1}$$のとき、$${z=2a-b+1}$$
$${x=1}$$のとき、$${z=-2a-b+1}$$
ここまでで、最小値の候補となるのは次の3つの値とわかりました。
$${z=b+1}$$
$${z=2a-b+1}$$
$${z=-2a-b+1}$$
最小値が正ということはつまり、これら3つの値がすべて正となることと同じことです。よって
$${b>-1}$$
$${b<2a+1}$$
$${b<-2a+1}$$
これらを図示して、次の図のようになります。
答え
下の図の網目部分。ただし、境界を含まない。
まとめ
2変数関数の最大・最小の基本問題を取り上げました。2変数関数の問題は他の大学でもよく出題されるテーマですので、慣れておくと良いでしょう。ここまで読んでくださりありがとうございました。