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【書評】『親切は脳に効く』から学ぶ、ボランティアの力と親切の副作用

今回は、デイビッド・ハミルトン博士の著書『親切は脳に効く』について、私の能登半島地震でのボランティア経験を交えながらお話しします。

親切の副作用

情けは人のためならず」ということわざ、皆さんご存知ですよね。実は、この古くからの教えが科学的に正しいことが証明されています。

著者のハミルトン博士によると、親切には5つの副作用があるそうです。

  1. 幸福感の向上

  2. 心臓と血管の健康改善

  3. アンチエイジング効果

  4. 人間関係の改善

  5. 親切の連鎖を生み出す

これらの効果は、脳内で分泌される「オキシトシン」というホルモンによってもたらされるのだとか。オキシトシンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、ストレス軽減や絆の形成に重要な役割を果たします。

さらに、親切にはアンチエイジング効果もあるとのこと。確かに、ボランティアに参加している人は、皆さん若々しい見た目をしています。

ボランティア活動の経験

私は、この本の内容を読みながら、能登半島地震でのボランティア活動を思い出しました。当時は純粋に人の役に立ちたいという思いで参加しましたが、振り返ってみると、まさにこの本で述べられている効果を体験していたのだなと実感しました。

災害ボランティアでは、空き家の災害廃棄物の片付けや、瓦礫の撤去を行いました。肉体的に大変な作業でしたが、被災された方々の笑顔やに励まされ、自分自身も充実感を感じていました。これは「幸福感の向上」そのものでしょう。

さらに、ボランティア活動を通じて多くの人々と出会い、絆を深めることができました。これは「人間関係の改善」にあたります。そして、私たちの活動を見た地域の方々が、お互いに助け合う姿を目にすることも多々ありました。まさに「親切の連鎖」が生まれていたのです。

やはり、特に印象に残っているのは、被災地の方々から「ありがとう」と言われたときの温かい気持ちです。その瞬間、体の中で何かが動いたような感覚がありました。今思えば、それはオキシトシンの分泌だったのかもしれません。

オキシトシンを増やす方法

本書では、オキシトシンを増やす方法としていくつか挙げられています。例えば

  • 人をなぐさめる

  • 友人や愛する人を支える

  • ハグをする

実際に親切にしたり、愛情を示したりしなくても、オキシトシンを分泌することができます。ちょっとした親切な行いをしたり、あたたかいやりとりを思い出すだけで、オキシトシンは作られるわけですね。

親切はさらなる親切を生み出す!

また、「親切の波及効果」についても触れられています。一つの親切な行動が、周囲の人々にも影響を与え、さらなる親切を生み出すという考え方です。

本書では、職場を例に次のように述べられています。

親切は職場でもさざ波を広げる。管理職が部下に対して親切で敬意を持っていれば、部下も仕事を愛し、実際の仕事の成果も上がるのだ。

親切は脳に効く デイビッド・ハミルトン (著), 堀内 久美子 (翻訳) サンマーク出版 (2018/5/30)

このような経験をした人は多いのではないでしょうか?私も仕事で成果を上げたれたときは、上司が親身になってくれたり、後輩が仕事に協力的だったときでした。

まとめ

改めて、ボランティア活動は意義のあることだと分かります。単に誰かのために何かをするだけでなく、自分自身の心身の健康にも大きく貢献し、さらには社会全体にポジティブな影響を与える可能性があるのです。

私たちは日々の生活の中で、小さな親切を心がけることができます。それは、困っている人を助けたり、感謝の言葉を伝えたり、あるいは単に微笑みかけたりするだけでも構いません。そうした小さな行動の積み重ねが、自分自身と周囲の人々、そして社会全体を少しずつ、でも確実に変えていく力を持っているのです。

「親切は脳に効く」は、科学的な視点から親切の効果を解説しつつ、私たち一人一人が幸せになれる方法を示してくれる一冊です。ぜひ皆さんにも読んでいただき、日常生活の中で実践してみてください。

今日から、一緒に小さな親切を始めてみませんか?きっと親切の波及効果が生まれるはずです。

参考書籍


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