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本と木彫りのまち。富山県南砺市「Bed and Craft」の「MITU」で過ごす贅沢な時間

先日、かねてより気になっていた富山県南砺市の「Bed and Craft」に宿泊してきました。

引用:Bed and Craft 公式HP

「Bed and Craft」は、その名の通り「宿」と「クラフト」が融合した新しいスタイルの宿泊施設。南砺市は、約200人の木彫り職人がいる、豊かな自然と伝統文化が息づく場所です。今回私が宿泊したのは、「MITU」というお部屋。一体どんな体験が待っているのか、期待に胸を膨らませながら現地へ向かいました。

まず驚かされたのは、その洗練された空間デザイン。古民家をリノベーションしたような建物は、伝統的な日本の建築様式を残しつつ、モダンでスタイリッシュな雰囲気が漂っています。

「Bed and Craft」の受付。まちの木彫りの工芸品を活かした作りになっていて美しい

「MITU」— 蜜のように濃密な空間

チェックインを済ませ、今回宿泊したのは「MITU」というお部屋。この部屋は、陶芸家「前川わと」さんが手がけています。食器をはじめとした一つ一つの陶芸が美しく、包み込まれるような安心感を与えてくれます。

「MITU」という名前の通り、時が「満つる」、静かに「蜜な」時間を過ごすという思いが込められているそう。

ここで思い出したのが、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』。光と影が織りなす日本の美意識について書かれた名著ですが、「MITU」の空間は、まさに「陰翳礼讃」の世界観を体現しているかのよう。薄暗さの中にこそ美を見出す、日本人の感性に深く訴えかける空間です。

読書家としては、部屋に置かれた本棚も気になるところ。「MITU」の部屋にセレクトされた書籍は、デザイン、哲学など。普段、実用書ばかり読んでいる私にとっては、新たな知的好奇心を刺激されるラインナップでした。

木彫りの街の燻製とイタリアン— 「nomi」で味わう、地元の食材のマリアージュ

「Bed and Craft」での夕食は、併設のレストラン「nomi」にて、「木彫りの街の燻製料理とイタリアン」のコース料理をいただきました。これは、「ご夕食付きプラン」を予約した客への特別な提供です。

運ばれてきたのは、旬の食材をふんだんに使った前菜。彩り豊かで、目にも美しい一皿。口に運ぶと、素材本来の味が、優しく、そして力強く広がります。

続いて、燻製料理の盛り合わせ。井波彫刻で知られる南砺市ならではの、木を燻した香りが食欲をそそります。燻製された食材は、旨味が凝縮され、奥深い味わい。お酒との相性も抜群です。

「食」は、その土地の文化や歴史を最もダイレクトに感じられる体験の一つ。食べ物は、その土地の風土と人々の知恵の結晶です。

「nomi」の料理は、まさにその言葉を体現しているかのよう。南砺の豊かな自然、そして、そこで育まれた食文化を味わうことができました。特に、燻製という調理法は、食材を保存し、風味を豊かにするための、古くからの人々の知恵。その知恵が、現代のイタリアンと融合することで、新たな食の体験が生まれていることに感動しました。

「Bed and Craft」の「MITU」は、こんな人におすすめ

  • 読書好き、特に哲学、民俗学、詩など、内省的なジャンルの本が好きな人

  • 日本の伝統文化や、土地の歴史に興味がある人

  • 日常から離れて、静かな時間を過ごしたい人

  • 自分自身と向き合い、内省を深めたい人

「Bed and Craft」の「MITU」は、単なる宿泊施設ではなく、五感を刺激し、内なる創造性を呼び覚ます場所。ぜひ、あなたも一度、訪れてみてはいかがでしょうか。きっと、忘れられない体験が待っているはずです。

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