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[Unity/DTM] 米津玄師 / Lemonのカバー曲とMVをつくってみた

以前、ポップスの作曲講座に参加した際、講師の人から「ポップスのヒット曲を完コピするとDTMが上達するよ!」とアドバイスを受けました。ヒット曲と聞いて思いついたのが「米津玄師のLemon」だったので、カバー曲を作ってみることにしました。

2023年の2月くらいに楽曲制作を始めましたが、気が向いた時に少しずつ楽曲制作を進めていたのもあり、1年半かけてYouTubeにアップすることができました。

※ ショートバージョン

ボーカルはSynthesizer V AI花隈千冬夏色花梨を活用しました。2024年5月に公式がVRM版の3Dモデルを配布してくれたので、せっかくなのでUnityを使ったMusic Videoも制作してみました。

この記事ではJ-POPのカバー曲を制作したふりかえりと、UnityでMusicVideoを制作した事のふりかえりをしてみたいと思います。



完コピって難しいけど学びがあった

Lemonの原曲をリファレンスにして、ひたすらコピーしていく作業は、楽曲制作の勉強になりました。B Majorの曲なのに、1小節目からⅥのマイナーであるG♯mから始まるように、マイナーとメジャーを行き来するコード進行は「失恋による深い喪失感と苦しみ」という曲全体の不安感を強く表現しているように感じました。

曲中にディミニッシュキーがよく出てきて、歌詞では「夢に見る」とか「教えてくれた」など過去に想いを馳せるフレーズで、ディミニッシュキーによってメロディも半音ずつ遷移していく箇所が、更に不安感を誘う感じがしました。始めは違和感があるのですが、何回も繰り返し聞いていると、耳に馴染むというか「Lemon」の不思議な世界観に引き込まれるようになるので、これがYoutubeの再生回数8.8億回という原曲の魅力につながっているような気がしました。

ビートは、ヒップホップとロックで、切り替わっていくのがメリハリがあって作っていて楽しかったです。普段はロックのリズムを作ったりすることはないので、リズムが縦にならないように工夫するコツを学べました。

一番苦労したのは、ストリングスで、NATIVE Instrumentsの「SESSION STRINGS Pro2」を使いましたが、初めて使ったので弦楽器の躍動感や疾走感を出すのがすごく難しくて、使いこなすのが難しかったです。

※ Synthesizer V AIの入力画面

ボーカルはSynthesizer V AI花隈千冬夏色花梨に歌ってもらいました。音声エンジンが強力で、細かいチューニングをしなくても美しく歌い上げてくれるので感動しました。ブレスも簡単に入れられるので使い勝手が良かったです。

初めてJ-POPのカバーに挑戦してみましたが、率直に楽しかったです。ただ、原曲をがんばって再現することに時間がかかってしまい、自分なりのアレンジする余力がなかったので、別の曲で次回チャレンジするならアレンジにも挑戦したなと思いました。

最近はDTMをあまりやっていなかったので、リハビリ的になって良かったです。

※ フルバージョン

UnityでMusicVideoを無人収録してみた

花隈千冬夏色花梨のVRMを活用して、Unity上でMusicVideoの無人収録をしました。無人収録とは、楽曲にあわせてリップシンクや動作アニメーションなどをUnity上で動かすという意味です。

こちらは、2年ほど前に、VRMをキーボードやゲームコントローラーで操作しながら、音声とリップシンクを連動させ、Unityの仮想カメラCinemachineで、複数の撮影シーンを自動で収録するシステムを開発していたので、今回はそれを再利用しました。

MusicVideoのほうは、実質4日ほどで完成させることができました。

※ Unity上のVRMの3Dモデルとたくさん配置した仮想カメラ

花隈千冬夏色花梨のVRMデータのクオリティが非常に高く、特に髪や服などが違和感なく自然に動くので感動しました。

以前に無人収録システムを開発した際、VroidStudioで作ったキャラクターは、髪の毛やアクセサリーや洋服が突き抜けたりするので、コリジョンを指定したり、服や肌にテクスチャペイントするなど対処療法的なことをしていたのですが、その必要がまったくありませんでした。

収録に使った無人収録システムは、GoogleSpreadSheetに記載したタイムコードやカメラワークと連動して、演出やカメラワークを自動で切り替えながら、人間がオペレーションする事なく、何パターンも動画収録する事が可能となっています。

動画素材をUnityで撮りためて、PremireProでカメラを切り替えながらMusicVideoに仕上げていきました。

※ Cinemachineはカメラの設定が細かくできるので楽しい

課題点としては個人用のツールなので操作画面もなく、C#の設定用クラスの定数を変える必要があって煩雑。2年前に開発したものなのでソースコードもメンテナンスしていなくてカスタマイズしようにも忘れていることが多く、あまり触りたくないものになっている点。

※ テロップは生成AIのWhisperからSRTファイルを生成しました

Unityは楽しいな!

8月にリリースしたApple Vision Proアプリ案件で、Unity PolySpatialを活用したこともあり、いろいろ忘れないうちにUnityで何か制作するきっかけになって良かったです。Unityは3Dモデルへのデータアクセスや制御が、オブジェクト指向的に理解しやすいのが好きです。複雑なゲームとかは自分には作れないですが、3Dモデルや仮想カメラを動かすぶんにはC#で自由に動かせるのが楽しいです。

※ Unityのモーションブラーはダンスのモーションによく合うのでかっこいい

Unity楽しいなと思いつつ、こういったMusicVideoをApple Vision Proで体験すると、臨場感が格段に向上するため、将来的にはたくさんの事例が出てくるのではと感じました。

ただ、Apple Vision Proが約70万円で、Unity PolySpatialを利用するためのUnity Proライセンスが年間27万くらいなので、初期コストだけでも100万円を超えてしまいます。

せめてUnity PolySpatialがFree版でも使えると個人開発でも普及していくと思うのですが、今後はどうなるのでしょうか。

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