朝起きて、となりにはクマ。#4

クマという生態


クマさんは、家が好きだ。

家で暇さえあれば、ゴロゴロしながらケータイやパソコンを転がして情報収集やゲームをしている。そういう時間が大事らしい。少し前までの自分は全然その気持ちがわからなかった。忙しくしていることで自分が生きているって実感できるし、動かないとせっかくの限りある時間がもったいないって思っていた。だから昔の私は外食もよくしていたし、一方で家にいる時は寝ていることが多かったし、テレビがあっても見ている・つける習慣なんて全くなかった。こんなせわしない私は、クマさんのおかげで普通の生活がどういうものかを知り、家が大好きになった。
忙しくせかせかと働いていた生活から離れた現在は、たまにどこかに出かけたりして、遠くに行きたいっていう衝動に駆られることもあるけれど、家が好き。
ここにいたいって思う自分になれた。クマさんのおかげである。

クマはケータイを握りしめて離さない生き物だ。

そんな性格の彼がたまに嫌になる。仕事関係だと言われてしまうことが多いし、大変な仕事をしているのはわかっているから仕方が無い。ケータイが今の人にとって大事なのはわかる。いろんなことをインプットしている現代の人たちにとってネットの無い社会はあり得ないと感じるかもしれない。だけど、たまにはネットから離れて目の前にいる人や流れている時間を大切にすることも大事だと思うのは私だけではない気がする。それを彼に教えていること甚だしい。
なので、よく私は怒る。そんな甚だしさが我慢できない。「怒られて悲しい。」そういいながら、微量な努力をしてくれているのがクマだ。ケータイでの遊び(ゲーム)は、私が寝てからにすることにすると、守られていることが少ないが明言をしてくれた。言われたら、やめようとする努力が見られるから今のところはよしとしよう。
今時の男の子からケータイを奪うのは難しいのかもしれない。

クマさんは運動が好きではない。

大きな理由として、汗をかくからだ。普通の人間からしたら、当たり前のことだと思うかもしれない。だけど、クマさんにとって汗は、寒い冬でも出る。暑い日または少し体を動かした際には、とんでもなく尋常でない事態となる。
まるで、プルトニウムを身体の中に保持しているようだとよく言う。
暑いこの時期は、Tシャツや履いているパンツも含め何枚も履き替えなくてはいけない位ぐっしょり濡れてしまう。かわいそうなことに面倒な身体的特徴を持つクマさん、いつも家ではパンツ一枚生活だ。洗濯をする私は、慣れてしまったけれど、二人で暮らしているのに量が多くて困ることが日常茶飯事だ。

結婚する前は、一緒に何かをしようとすると、まずは、眠い、疲れた、お金がかかるという順に駄々をこね始め、てこずる。

クマさん的には、運動が嫌いだし、外行くと汗かくし、歩くのがだるいし、人混みが嫌いだから外に行きたくないし、寝だめをしていたいというのが理由だが、いろんな理由をつけてその場をしのごうとしていた。クマさんは、集団生活をする人間として必要な協調性が欠けていた気がする。これは決して悪口を言おうとしているのではなく、クマの彼のリアリティだから敢えて言う。そんなクマと長くいると、この一緒にいる空間を大切にしないといけないなとか、お金がかからないような生活を心がけなくてはいけないなという普通に暮らす人が持つべき道徳を私は学べた気がする。初めは嫌々だった。外に出ないクマさんに抵抗もした。(今もたまに行う。)

どんな抵抗をしたかというと、ずっとクマさんの嫌がることをし続けたりした。くすぐったり、駄々をこねたり、寝ているクマさんに文句言ったりした。それでも悲しくなると、昔は、私が(自分の支払っている家なのに)家出をしたりした。実家に帰ろうと電車に乗ろうとした。だけど、自分の家なのになんで私が出て行かなくはいけないのかわからなくなり、近くをグルグルと歩き回ったりした。クマさんのいる家に帰ろうとどうしようか考え始める家出から二・三時間後、クマさんから「どこ-???」っというライン、電話が来て、渋々クマさんのところに帰ったことが何回かあった。
家に帰ると、クマさんから謝罪はあるけれど、また同じことの繰り返し。いまだに慣れないけれど、クマさんはやる気がない段階で、外へ行こう何か外でやりにいこうと言われると天邪鬼な気持ちが表れるらしく、ますます行きたくなくなるらしい。そういうことが起きた時の対処法はというと、クマさん曰く、何も言わずに放っといてほしい、だそうだ。
そのうちに、前からの約束事の大事さや寝ることの罪悪感を感じ始め、起きて外に行かないといけないと思うらしい。

クマさんは普段は忙しいビジネスマンである。

見かけによらず予定が毎日いっぱいらしく、頭を使う事が多いため疲れやすい。世のビジネスマンと何も変わらないのだけれど、クマは、運動もしないし、体力も普通の男性よりない。だからこそ、クマにとって寝ることは大事なのだ。寝ることにより自分の体を癒し、日々の仕事を優秀な頭で処理していく糧にするのだ。
クマさんにとっては大切なお休みを私の都合で壊しては可哀想だと思い、彼の癒しを優先してあげていることもあった。しかし、最近は、よく車で隣の県まで行って、そこでのんびりするようにしている。私もクマもウィンウィンだ。クマも成長したみたいだ。
クマさんには生活習慣病にかからない為にも、運動をしてほしい。特に四季を如実に感じるこの日本では、クマにとって汗をコントロールしながら運動することは難しいけれど、私は頑張ってクマをプールへ連れて行くようにしているのだ。
ちなみにこの夏は、一度も連れて行けていないので反省する。さすがに、週一だけのお休みにプールはキツいと思う。

いろいろクマについて言ったけれど、休みの日は、クマの好きなことをしてゆっくり休んでほしい。




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