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【3】切り絵 手を放す
ショッピングモールに 並ぶお店
近くに見える ファストフードの ドライブスルー
慣れ親しんだ 職場の雰囲気
毎月変わる キャンペーンの看板
苦手だったミーティング
店の前に 佇む お客様
お客様に かけ寄る 私
自転車に乗った女性が 「ベッドを貸して」
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お店のベッドは 貸せないと 言いかけて
声が出ない
ベッドは貸せずとも 私でよければ 何か力になりますと 言いかけて
声が出ない
どちらも 言ったら 後悔するような 気がして
女性は うつむき 引きとめる間もなく 消える
何が正しかったのか わからないで 悩んでた
最善を探して いつも みつからなかった
常識的で 模範的な 正解は いつも ちゃんとできない
こうあるべきって 思うけど
出来ないことに 悩むのは 出来ると思ってるから
なりたいものに なれるわけじゃない
努力して 近づくことはできても そのものになれるわけじゃない
ほんとに 出来ないって わかったら
やっと 出来ることしようって 思えた
出来ることだけ 見始めたら 世界が ぐっと狭くなった
こじんまりとした 私に ぴったりの世界に