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祖母のこと *一緒にレストラン

こんにちは。

祖母とのわずかばかりの思い出を綴りたいと思います。

祖母の家を片付けておりますが、祖母とは離れて暮らしていたため、お盆やお正月の限られた時しか会うことはありませんでした。
大学生になってから、就活の時や何かのおり、四季に1回くらいのペースで1人で尋ねることはありましたが、祖母のところで一緒に暮らしていた、というわけではないので思い出の総量としてはとても少ないです。

外に食べに行こうかね

寒い季節のことだったと思います。
就活中の私は大阪に近い祖母の家によく泊まらせてもらっていました。

そんな日の夜ご飯は祖母がご飯を作ってくれるか、近くのお好み焼き屋さんのお持ち帰りでしたが、その日は珍しく祖母が外に食べに行こう、と提案してくれました。

歩いていけるとこに行ってみたいところがある、ということだったので杖をつかずに歩く祖母が下り坂で転ばないかそわそわしながらお店まで行きました。

そこは某ファミリーレストラン。
正直、お寿司とかそういうものを期待していたので「ファミレスかー!」と思ってしまいました。

お店に入って窓際のソファー席に座ると、祖母は大きくてカラフルなメニューを机に広げました。
ハンバーグ、チーズがかかったハンバーグ、グリルチキン、ミックスグリル…逆に祖母がお肉に溺れてさしまうのではないかと心配になる程、祖母からは想像できない肉料理のページを楽しそうに見せてくれました。

「若い子は、こういうお店が好きなんやろう」

とあまりにニコニコ笑いながらいうので、「うん、こういうお店大好き」とさっきまであったお寿司の残像を吹き飛ばして答えました。
祖母は私に合わせてくれたんだ。

自分が何を頼んだか忘れましたが、祖母はカレードリアを頼んでいました。

食欲はいっぱいあるんだな、と思っていると半分くらい食べたところで残してしまい、「後はあげる」とのことでした。
慌てて自分の頼んだメニューに加えて祖母のカレードリアを一生懸命食べたことがとても印象に残っています。

登り坂と祖母

帰り道は登り坂。
少ししんどいようで、途中から手を組んで支えながら家まで帰りました。ぎゅっと手を繋いでくれて腕にしがみつくような形でよっこいしょよっこいさんと街灯の少ない道を歩きました。

祖母の姉と一緒にやっていたお店に通っていたときはひょいひょいと歩いていた道ですが足が悪くなってからはあまり通うこともなくなってしまい、やけに時間がかかるようになりました。
狭い道で車が来ると2人で端っこに寄って車が通り過ぎるのを待って、車が通り過ぎるとまたよっこいしょと歩き出します。

「お腹いっぱいやなあ」と満足そうに笑っていました。
祖母の手は柔らかくて、温かかったです。

切り絵作家 ひら子

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