二人展《空はシトリン》|影山多栄子&永井健一|誰もが一人の
本記事では、影山多栄子と永井健一が、宮沢賢治の詩「春と修羅」をテーマに創作した4点の作品を紹介する。
自由な想像と創造の世界。両作家の感性を具現化する力には圧倒される。それぞれの個性にふれて、賢治の詩の世界にひたりたい。
気高さの中に反骨心を秘めた挑むようなまなざし。仕立ての良い服は身分の高さと揺るがない個性を示している。作家が「春と修羅」の詩から創り出したのは、意志の強さと繊細さが同居する孤高の王子。
表情に滲む余裕は、まだ本当の意味で世界を知らない恐れ知らずの若者特有の自信か、それとも世界を見通す知性と感性を備えた者の孤独ゆえか。揺れ動く聡明な若いこころ。内なる闘志と絶対的な自信。その逡巡に賢治の詩が息づいている。
水面に映った樹は、人間の肺のような形を成して息づいている。芽吹く季節。生きているからこその激しい感情。飛び立つ鴉は私を見つめているのか。いや、その目は私の。
目の前に広がる糸杉が、波立つ心に冷静と情熱の両方を投げかける。それはただの糸杉だ。わかっている。だから心の奥底を見透かすのは、それだけは。
自然は息づき、私は沈む。
自然は動き、きらめき、まぶしく、心がつらい。
コントラストが胸を締め付ける。それでも自然に心奪われるのはどうしてか。自然と一体化してしまえたのなら。それでも私は。
修羅となった我が身に映る春の光景。命が飛び交い、営みは続く。聖瑠璃の風がこれでもかと美しく吹き付ける。迷う私はそれでも歩き続ける。
春がまぶしい。誰もが一人の修羅なのだ。
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作家名|影山多栄子
作品名|春のいちれつ
顔と両手のみ石粉粘土・両目はガラス・アクリル絵具・布・ポリエステル綿・ベレット・ビーズほか
作品サイズ|身長38cm/座高28cm(ブリムを含む)
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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作家名|永井健一
作品名|春の肺
アクリル・色鉛筆・アルシュ水彩紙
作品サイズ|5.8cm×3.8cm
額込みサイズ|22.5cm×18cm
制作年|2022年(新作)
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作家名|永井健一
作品名|ZYPRESSEN
アクリル・色鉛筆・アルシュ水彩紙
作品サイズ|5.8cm×3.8cm
額込みサイズ|23cm×18.5cm
制作年:2022年(新作)
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作家名|永井健一
作品名|まことのことば
アクリル・色鉛筆・アルシュ水彩紙
作品サイズ|5.8cm×3.8cm
額込みサイズ|21.5cm×17cm
制作年|2022年(新作)
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作家名|永井健一
作品名|あるく修羅
アクリル・色鉛筆・アルシュ水彩紙
作品サイズ|5.8cm×3.8cm
額込みサイズ|25cm×21cm
制作年|2022年(新作)
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